クルマ趣味のなかでもじつは根強いジャンル「建設機械」
日本以上に「クルマ趣味」が深化している欧米。かつてイギリスにダイハツ「シャルマン」のオーナーズ・クラブがあることを知って驚いた記憶があるが、それはまだ序の口だ。軍用トラックの内装を専門とするレストアショップがあったり、趣味のトラクター専門誌があったり、定置式エンジンの同好会が存在したり……と、とにかく奥が深い。そしてそれら全てをお互いが「クルマ趣味」としてリスペクトしあい、共存共栄しているところが素敵だ。そんな多岐にわたるクルマ趣味のジャンルのなかでも、とくに根強い人気を誇るのが建設機械の分野である。
欧米には本物の建機を手に入れて遊ぶマニアも
ダンプカーにブルドーザー、油圧ショベル(パワーショベル)やローダーなど、用途に合わせて無数のラインアップが存在する建設機械の世界。道路工事やビルの建設現場で、普段われわれが何気なく目にしているそれらは、じつは1台1台がそれぞれの作業内容に特化した合目的的な機能美にあふれているという点で、レーシングマシンや軍用車にも通じる。
そんな建設機械の魅力に取りつかれた欧米のクルマ趣味人のなかには、本物の建機を手に入れて実際に地面を掘ったり土砂を運んだりして楽しむ剛の者もいるほど。それはちょうど、F1チームが放出したF1マシンを手に入れてサーキット走行を楽しむ行為と同様の贅沢、ある意味で究極の趣味道楽といえる。
その道のプロたちが愛でる建機のミニカー
もちろんそこまで熱烈なマニアでなくても、建設機械の魅力を身近で楽しむことはできる。昔から模型の世界には建設機械のミニチュアモデルというジャンルがある。それは子ども向けの玩具とは一線を画する精密なモデルで、多くは実機メーカーが自社製品のプロモーション用、そして3次元のカタログとして使われることも念頭に置いたものだ。
その目的からしてそれらのモデルは、実機の見た目を忠実に縮尺しているだけではなく、その機能や利点が理解できるように各部の可動部分まで正確に再現されているものも多い。そしてその精密に縮小された機能美に魅せられ、「建機のミニカー」を専門に収集するコレクターも多く、そのなかには建設会社のオーナーや社員、あるいは実機オペレーターなどの「プロ」も少なくないという。