イタリア製「顔面変更」キットがガチすぎる!
2022年秋口から話題になっていた、シトロエン「ベルランゴ」の「2CVフルゴネット」風コンバージョン。プロデュースしたのはイタリアのカロッツェリアである「カセラーニ」社で、10月頭から受注を開始しており、2023年初頭から実際に生産される予定だ。しかもフランス本国のシトロエン本社が公認ライセンシーをカセラーニ社に与えており、同社からディーラー販社でも買いつけられるという。
シトロエン往年の商用車「風」が大中小でラインアップ
この2CVフルゴネット・コンバージョン・キットは、単独で話題になったわけではない。すでにカセラーニ社は2017年、シトロエン「ジャンパー」を「タイプH」化するキットを、次いで2020年にはシトロエン「ジャンピー」そして「スペースツアラー」を「タイプHG」化するキットを実現していた。
今回のベルランゴの2CVフルゴネット化で、現代のシトロエン・ユーティリティをベースに、懐かしい往年の商用車風がS・M・Lの3サイズで揃うという、ラインアップの完成を見たからこそ話題となったのだ。
タイミング的にも、欧州では「ë-ジャンパー」、「ë-ジャンピー」/「ë-スペースツアラー」、さらに「ë-ベルランゴ」というEVラインアップも矢継ぎ早に登場して、ちょうど1年が経過したころ。EVになっても、このノスタルジックな外観のシトロエンの空気感が失われることなく、しかも商用車という仕事ツールでちゃんと受け継がれたことに、大きな注目が集まったのだ。
【大】「ジャンパー」の「タイプH」風トラック
そこで今年2022年10月のパリサロンは、カセラーニ社のフランス輸入元、オルレアン近郊の「メアリ・エヴァジオン」社のブースを訪れてみた。果たしてそこには期待通りの三つ巴が、ちょっと異様なオーラを放っていた。
まずは現行型ジャンパーのL3、つまり一番長いバージョンのフラットベッド仕様がHトラック化され、荷台にはなんと新車コンティニュー中の「メアリ」が積まれているではないか。あざと可愛いが、デカくてキャッチーな威容に、まずは圧倒される。荷台下のスカートや飽和気味のベージュに塗られた鉄チンホイールまで、スキのない仕上がりだ。
おかしいのは、荷台がちょうど置き場になるのだろう、カフェのカウンターのようにドアに肘をつきながら、おじさんたちが集っておしゃべりしていた。あまりの憩いっぷりに、クルマを撮るからどいてくれと声をかける方が無粋な気がして、そのまま写すことにした。
閑話休題。パワートレインこそ2LディーゼルのBlueHDi 140の6速MT、3座仕様だが、MP3やデジタル・ラジオに接続可能なようBluetoothやハンズフリーは備わり、車載用ベッドといった特装エクイップメントはシトロエン純正のまま。展示仕様で税抜6万4000ユーロ、現在のレートで約960万円ということだ。