リッターあたり21.7キロの燃費
パワーユニットのシステムを始動すると、デフォルトで選択されるのは「EV」モードだ。アルトゥーラは3L V型6気筒DOHC 24バルブツインターボエンジンに、エレクトリックモーターを組み合わせ、最高出力はそれぞれ585ps、95ps、最大トルクは585Nm、225Nmを発揮。システム全体では600psの最高出力と720Nmの最大トルクを発生する仕組みとなっている。
燃費はWLTPモードで約21.7km/L(4.6L/100km)。700psに迫るパワーを得ながら、燃費性能をここまで高めることができたのは、やはりハイブリッド・システムの存在があるからにほかならない。
早朝のガレージで役に立つ「EVモード」
EVモードでの走行は、スタートから130km/hまで、距離にして満充電から31kmを可能にするが、さすがにこの領域ではキャビンの静かさは圧倒的だ。気になるのはタイヤからのかすかなノードノイズとボディの風切音くらい。
これとてエンジンとモーターの協調制御が始まる「ハイブリッド」モードに入れば(あるいはこれもメーターナセルの脇にレイアウトが移動し、操作性が抜群に良くなったスイッチでドライバーが自身でそれを選べば)、後方からの見事なBGMでそれは気にならなくなる。
ハイブリッド モードでのエンジンとモーターの協調制御は、普通にドライブしているかぎりはまったくそれを意識させられることはない。
さらに「スポーツ」モードでは、モーターの介入度はさらに高くなり、同時にパワーユニットのモード選択スイッチとは対称の位置にあるシャシーのモード選択スイッチで、こちらもスポーツを選べば、日本のワインディングロードにはちょうど良いフィーリングのセッティングが得られる。
パワーユニット、シャシーともにさらにスパルタンなフィールとなる「トラック」モードは、常時エンジンは回り続けるが、それと同時にバッテリーの充電も効率的に行う。バッテリーの残充電を増やしたい時には、このトラックモードを使うというのも、このアルトゥーラの隠し技といえるのだ。
アルトゥーラの走りでとくに好印象を受けるのは、やはりミッドシップ車らしい素直なコーナリングだ。とりわけこのアルトゥーラから採用されたリアのマルチリンク・サスペンションの動きは素晴らしく、減衰力を自動的に可変させるPDC IIプロアクティブダンピングコントロールや電子制御デファレンシャル、そしてなによりこのアルトゥーラのために新設計されたというモノコック、MCLAの軽量性や剛性が素直なコーナリング特性と乗り心地に大きく貢献している。
このアルトゥーラを見るかぎり、マクラーレンの次なる10年も明るいものになるだろう。そう確信することができた試乗だった。