ポルシェから「ラリーカー」が登場
ポルシェは2022年11月のロサンゼルスモーターショーにおいて、高いオフロード性能を備えた「911」の限定モデル「911 ダカール」のワールドプレミアを行った。同時に日本国内での予約受注も開始されており、車両本体価格は3099万円となる。
1984年の「パリ−ダカールラリー」における総合優勝を想起させる、「911 カレラ3.2 4×4 パリ・ダカール(953)」の“後継モデル”として2500台のみが登場した。
911でオフロードアドベンチャーが楽しめる
ポイントでもある車高は、911カレラのスポーツシートサスペンション装着車を50mm上回る高さに設定。標準装備のリフトシステムによって、フロントエンドとリヤエンドをさらに30mmアップさせることも可能となっている。
リフトシステムはチューンされたサスペンションと一体化されており、障害物を乗り越えるために低速で走るためだけでなく、ハイレベル設定を用いて車高を高くしたままでオフロード走行を楽しむこともできるという。ただし、速度が170km/hを超えると、自動的に車高は通常位置まで戻るようになっているそうだ。
また、“スポーティなオフロード走行”に対応するため、タイヤは専用に開発されたピレリ スコーピオン オールテレイン プラス(フロント245/45ZR19、リヤ295/40ZR20)を装着する。トレッドパターンの深さを9mmとし、サイドウォールとトレッドを強化、カーカスプライを2層とし高い耐カット性を備えている。
エクステリアにはCFRP製(炭素繊維強化プラスチック)の固定式軽量リヤスポイラーと、911 GT3にも採用されているエアベント一体型のCFRP製ボンネットが装着された。
オフロードモデルらしく、赤いアルミニウム製けん引バー、フロント/リヤ/サイドシルのステンレススチール製保護エレメント、専用ホイールアーチエクステンションなどを装備。フロントエンドのサイドエアインテークもステンレススチール製グリルで飛び石から保護されている。
また、オプションとして、補助ヘッドライト(公道使用は禁止)を備えたルーフバスケットを用意。42kgの荷物をのせられるこのバスケットに、燃料や折りたたみ式シャベル、トラクションボードなどのラリー装備を積載することができるという。
インテリアはフルバケットシートを標準装備、リヤシートが外されており、スポーツカーらしさを強調している。さらに、軽量化も図られており軽量ガラスと軽量バッテリーが取り入れられるなどによって、車両重量を1605kgとしていることもスポーツカーらしいところだ。
パリダカ総合優勝モデルのスタイリングも可能に
エンジンは最高出力480ps・最大トルク570Nmを発生する3Lツインターボを搭載、4WDシステムが採用されている。0-100km/h加速は3.4秒、最高速度はオールテレインタイヤのため240km/hに制限されているという。
シャシーには、PDCCアンチロールスタビリティシステムやリヤアクスルステアリング、GT3から採用されているエンジンマウントなどを標準装備とし、砂地などでもダイナミックな走行を可能としている。
また、ドライビングモードには「ラリーモード」と「オフロードモード」を設定した。ラリーモードはリヤ重視の4WDが特徴の、起伏のあるゆるい地面に最適なモード。オフロードモードは、難易度の高い地形や砂地でトラクションを最大限に引き出すモードで、車高が自動的に上がる。さらに、この2モードにはタイヤの空転を約20%許容するラリーローンチコントロールも備わった。
そして、オプションとして、1984年のパリ−ダカールラリー優勝車をイメージしたデザインパッケージ(433万7000円)が用意された。こちらは、ボディカラーをホワイト/ジェンシャンブルーメタリックのツートンカラーとし、ボディサイドには1から999まで好きな番号を選択できるゼッケンナンバーが備わっている。加えて、ドアに「Roughroads」ロゴ、レッドとゴールドのデコレーティブストライプもあしらわれており、雰囲気を高めてくれる。
AMWのミカタ
ポルシェ「911 ダカール」と同様のコンセプトで、ランボルギーニからは「ウラカン」をベースとした「ステラート」のオフィシャルフォトが発表されたばかりだ。世界的なSUVブームの中、オンロードだけでなくオフロード走行を視野に入れたスーパースポーツが今後のトレンドとなりそうだ。ランボルギーニ「ウルス」は、スーパーSUVのジャンルでは過去の「LM002」といったモデルからのDNAをうまく利用して成功を収めたが、ことラリーを始めとするオフロードのイメージはポルシェの方に一日の長がある。舞台をサーキット&オンロードからオフロードへと移した911とウラカンのバトルの行方はどうなるのか、しばらく目が離せそうもない。