朝霧高原で開催の「JAC関東の集い」で出会った素敵なキャンパー
2022年10月29日から30日の2日間、朝霧高原オートキャンプ場を舞台に日本オートキャンプ協会が主催する「JAC関東の集い」が開催され、キャンプサイトには参加者たちのテントが華を咲かせていた。どのサイトにもオリジナルの工夫が凝らされ、キャンプ好きには参考になるものばかり。今回は同イベントで見かけた素敵なキャンパーに「キャンプの魅力」について語ってもらった。
ライフステージに応じた形でキャンプを楽しんできて半世紀
今回のイベント取材で最初に声をかけさせてもらったのが、三浦宏規さんのキャンプサイトだ。落ち着いたオーラが漂うサイトには余裕が感じられ、不思議な魅力にあふれていた。キャンプ歴が半世紀を超えるという達人は「人生に寄り添いながらキャンプのスタイルを楽しむのが面白い」と語る。
「私がキャンプというものに出逢ったのは7歳の時でした。生まれ故郷である北海道で親戚のおじさんに連れられキャンプ場に行ったのですが、支笏湖にあるキャンプ場は美しく、その風景は今でも良い思い出として残っています。そして16歳の時、初めて保護者なしでのキャンプを経験して、自分の力でキャンプをしたことで“達成感”を感じ、精神的にも大きく成長できたように感じました。その後、結婚してからは妻と2人、子どもが生まれてからはファミリーキャンプ、子どもたちが大きくなってからはソロキャンプの比率が大きくなりと、家族の形態に則しながらキャンプを楽しんでいます。子どもたちもキャンプ好きに成長したようで、たまに付きあってくれる娘とのキャンプも楽しみのひとつですし、自衛官になった長男は本当の“野営”をしているようです(笑)」
キャンプ道具をたくさん持ちつつ、こだわりすぎない自然体で
キャンプ歴が半世紀を超える三浦さんに「キャンプで最も大切にしていることは何ですか」とお尋ねすると、即答で「自然体で過ごすこと」と答えてくれた。
「キャンプ好きのあるあるですが、あの道具も良さそう、これも楽しそう……と手を出しているうちに、気がつけば膨大な数のキャンプ道具で家の中があふれてしまいました。テントだけでも40張り以上あり、劣化しやすい化学繊維のテントは室内に、丈夫なコットン系のテントは倉庫に収納するなど、保管や管理するだけでもひと苦労です。その他にもタープやチェア、焚火台なども大量にありますから大変です(笑)。
今回のキャンプは妻と娘の3人で参加したのですが、娘は車中泊、私と妻はビッグアグネスの小さなテントで宿泊することになり、サイトはコンパクトにまとめてみました。昔は色々な道具を持ち込んで楽しんでいましたが、今は気取らずに“自然体”で楽しむことが多くなりましたね。
でも、唯一こだわっているとすれば大好きなペトロマックスのランタンを灯すこと。扱いは面倒ですが深い味わいがある。コールマンのようにホワイトガソリンではなく灯油で使えるのも経済的ですからね。でも、テントの中では常夜灯として充電式のベアボーンズのランタンを使っています」
日本中でキャンプをしてきて、あと少しで日本制覇
電子機器メーカーで開発に携わる三浦さんは数年後にも定年を迎えることもあり、早期退職をしてキャンプ三昧の日々を送りたいと考えているという。
「妻にも話をしたのですが、これからは残された人生を自由に生きてみたいと考えています。今までに日本各地でキャンプをしてきましたが、残すは和歌山と沖縄だけ。まずは和歌山でキャンプをし、最後は沖縄へと渡って日本制覇を果たしたいですね(笑)。私の人生はキャンプとともに過ごしてきましたが、これからもそのスタイルは変わらないと思います」
50年以上もキャンプを楽しんできても、自然と向き合う趣味だけに危険が伴うことも少なくありません。道具は買い直すことができますが、命は買い直すことはできない。キャンプを楽しむ人が増えたのは喜ばしいことですが、くれぐれも無理をしないように“安全第一”で楽しんでほしいですね。もし、キャンプ場で私を見かけたら気軽に声をかけてください。楽しいキャンプ話に花を咲かせましょう」
奥様と娘さんとのキャンプを楽しんでいた三浦さん。半世紀にもわたりキャンプを楽しみ日本中を旅してきたという猛者は、これからの人生もキャンプを楽しみ、刺激的な生き方を続けて行くことだろう。