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アウトドア最強ミニバンは? トヨタ「ノアヴォク」とホンダ「ステップワゴン」を比べてみました

トヨタ・ノアとヴォクシー

先進運転支援機能の充実度ではノア&ヴォクシーが上回る

 ミニバンが“意外にも”アウトドアで大活躍してくれることは、アウトドアフィールドで実際に使ってみると分かることだ。例えば、三菱主催のスターキャンプに集結するクルマとして、SUVのアウトランダーが絶対多数……ではなく、ミニバンのデリカD:5の数が多いことからも証明される。

 理由は、2列目席まで使った際の荷室容量、スライドドア開口部を含めた荷物の積みやすさにあると言っていい。また、ボックス型ミニバンならではの(SUVより大きく長い)巨大なバックドアがひさしとして利用でき、荷室後端を椅子代わり、テラス席代わりにして座りやすいのも、フロアが低めのミニバンのほうだろう。

 ここでは、ファミリーミニバンの代表格でもあり、街乗りからアウトドアまで使いやすく、比較的買いやすい価格帯のトヨタ「ノア&ヴォクシー」とホンダ「ステップワゴン」のアウトドア適性について比較検証してみたい。

2列目席はベンチシートを選択

 まず「アウトドア命」であれば、2列目席はベンチシートを選択するべきだ。というのは、ここではテント泊を前提としているが、テントがおもな居住、就寝スペースだとしても、突然の悪天候などで一時的に車内に避難する、というケースもありうる。

 そんなとき、車内をお座敷、ベッドスペースとしてアレンジしやすく、使いやすいのは、キャプテンシートよりベンチシートなのである。

 ここで、「でも、たしか先代ノア&ヴォクシーの2列目キャプテンシートは横にもスライドできてセミベンチシートにアレンジできたし、逆に先代ステップワゴンのキャプテンシートは横スライドができなかったよね。ノア&ヴォクシーなら2列目キャプテンシートでもいいのでは?」という意見があるかもしれない。

 しかし新型同士で見ると、ステップワゴンの2列目キャプテンシートは最新の6代目になってキャプテンシートに横スライド機構を追加。一方、4代目ノア&ヴォクシーはストレート超ロングスライド機構の採用から、2列目キャプテンシートの横スライドを廃止しているのである。

 つまり、現行モデルでキャプテンシートの横スライド&セミベンチシート化が可能なのはステップワゴンということになる(現行セレナもOK)。とはいえ、キャプテンシートの2座を引き合わせるのと、元からベンチタイプのシートでは、シート幅(ベッド&お座敷幅)、フラットアレンジ時のフラット度で、ベンチシートが優位。やはり、アウトドア派としては、キャプテンシートの贅沢なかけ心地よりアウトドアでの実用性を重視したいところではある。

荷物の積みやすさはステップワゴンが有利

 あとは、荷物の積みやすさが、アウトドア適性では重要なポイントとなる。両車を比較してみると、ノア&ヴォクシーは荷室開口部地上高500mm、開口部段差なし。3列目席使用時の荷室奥行き410mm、3列目席格納時の奥行き900mm。荷室幅1280mm。荷室天井高1220mm。床下収納あり。なお、3列目席を完全ワンタッチで左右にハネ上げて格納した時の荷室幅は1100mmとなる。

 一方、ステップワゴンは荷室開口部地上高530mm、3列目席格納時の開口部段差なし。3列目席使用時の荷室奥行き420mm、3列目席格納時の荷室奥行き1170mm。荷室幅1200mm。荷室天井高1460mm。床下収納なし(3列目席床下格納による)。

 どちらも3列目席を格納すれば、2-5人のアウトドアライフに十分な荷物の積載が可能と考えていいだろう。昔であれば、リヤウインドウの視界を遮る高さまで荷物を積むのは後方視界の確保、安全面でNGとされていたが、今ではデジタルインナーミラーが装備できる。万が一、荷室の天井近くまで荷物を積んでも後方視界は確保されることになるから安心だ。

 もっとも、ステップワゴンは3列目席を床下に格納する分、3列目席格納時の荷室容量(とくに高さ方向と上部幅)では優位。だが、ノア&ヴォクシーは床下収納(最大140L)を持つことで、アウトドア帰りの汚れた荷物とそうでない荷物を上下にわけて積み込めるなどのメリットがある。

災害時など、あると心強く超便利なAC100V/1500Wコンセント

 しかし、アウトドアシーンにおいて、両車の決定的な違いは、ハイブリッド車に表れる。そう、AC100V/1500Wコンセントの有無である。ノア&ヴォクシーのハイブリッド車には歴代、AC100V/1500Wコンセントが用意され、新型の場合、S-Zに標準装備、S-Gに4万4000円のOPとなっている。電源付きキャンプサイトなら不要かもしれないが、やはり災害時を含めあると心強く超便利なのがAC100V/1500Wコンセントだ。

 一方、新型ステップワゴンには、アクセサリーとしてもAC100V/1500Wコンセントの設定はなし。先代にはOPであったものの装着率が低く、新型では廃止されたというのだ、残念無念。このアウトドアブームの最中だけに、ぜひ復活してほしいところである。

 よって、荷物の積載面、2列目席ベンチシートでの車内のお座敷化、ベッドルーム化では大きな差は生まれないものの、車内外でコーヒーメーカーや簡易電子レンジ、照明などが使えるAC100V/1500Wコンセントの有無では、クラスで唯一用意される(執筆時点)ノア&ヴォクシーが優位ということになる。

 電源なしのキャンプサイトでは、快適性で差がつくことになるというわけだ。もっとも、走行性能では、車内の静かさ、こもり音のなさという点でステップワゴンがリード。

 よってアウトドアフィールドが遠く、ロングドライブをしたときの快適性ではステップワゴンが有利だが、先進運転支援機能の充実度ではノア&ヴォクシーが上回る。

 結論としては、デザインの好み、装備・機能の違いもさることながら、AC100V/1500Wコンセントの有無をどう考えるか? アウトドアでミニバンをツールとして使う上での両車の選択の見逃せないポイントのひとつがそこにある。

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