納車直後の「1000TCR仕様」で「さいたまイタフラミーティング2022」に参加
2022年11月3日に開催された「さいたまイタフラミーティング2022 in吉見町」はその名のとおり、イタリア車&フランス車とそのオーナーのためのイベント。埼玉県・吉見総合運動公園を会場に約500台ものイタフラ車が集合して、オーナー車両の展示のほか、メーカーやショップなどのブース展示やフリーマーケットなども行われていた。じつに多彩なイタフラ車のなかから、独自のボディパーツ満載なクラシック・アバルトの傑作をご紹介しよう。
フィアット「600」ベースのアバルト最高峰モデルとなった「TCR」
日本でなじみ深い2代目フィアット「500(チンクエチェント)」の登場に先立つこと2年、1955年にデビューしてフィアット初のリヤエンジン車となったのが「600(セイチェント)」だ。そしてそれをベースに、カルロ・アバルト率いるアバルト社がヨーロッパのツーリングカーレースなどのためにチューニングを施したモデルの中でも最高峰といわれているのが「1000TCRベルリーナコルサ」である。
特徴的なノーズスポイラーや、排熱のためほぼ水平まで開いた状態で固定されたエンジンフードなどが特徴で、エンジンは982ccの水冷直列4気筒OHVなどが搭載された。ちなみにTCRとは「ツーリズモ・コンペティツィオーネ・ラディアーレ」の頭文字を取ったもので、ラディアーレとはTCRに与えられたヘミヘッドを指している。その1000TCRをイメージさせる、1000TCR仕様に乗ってさいたまイタフラミーティングに参加していたのが田上浩一さん。
さっそく旧車ならではの洗礼も経験
この1000TCR仕様は田上さんによるとボディパーツなどは当時のものが使用されており、足まわりはピロボール化され、前後ともにディスクブレーキになっているという。またエンジンに関してはTCRとは仕様が異なるが、1000cc弱までボアアップされているそうだ。
「もともとアバルトが欲しいなと思っていて、現行のアバルトもいいなと思っていたんですけど、ホントたまたま、めぐり逢いですね、一目惚れです」という田上さん、旧車はこれが始めてだそうで、通勤路の途中のクルマ屋さんでたまたま見かけて一目惚れで購入し、今年の7月に納車されたばかりだそうだ。
それから数カ月の間で、ドライブ途中の高速道路上で煙を吐きレッカー車でドナドナされたこともあったという。これはヘッドの歪みが原因で、面研を行いガスケットの交換で対応。さっそく、旧車の洗礼にあった形だが、それ以降はクルマも好調でドライブやイベント参加などを楽しんでいるのだった。
大きな(小さな?)オモチャを夫婦で楽しんでいる
「ゴーカートみたいで楽しいですね。最初にトラブルはありましたが、全体的に満足しています。これ以上はとくに何か手を加えるつもりもないですし、せっかくなのでずっと乗り続けられればと思っています」と話す田上さんの脇では、時おり「煙出たりしたんですよ」、「夏と真冬は無理なんじゃないかと。なかなか価値が私には分からないですねぇ」とニコニコしながら楽しそうに話す奥さんの姿が。田上さんが偶然見つけたアバルト1000TCR仕様のある生活を、ご夫婦ともに楽しんでいるようだ。