想像以上に蝕まれていたBCNR33の蘇生を柴田代表に託す
斬新なアイデアでさまざまな事業を手がける柴田代表に「なかなかイカれている」と思われたmeronさん。徐々に交流を深めていくなかで、BCNR33のレストアを依頼することに。
「天候問わず走っていたので、冬を越したら塩カルの影響で各部に錆が進行してしまい、相当ひどい状態でした。GT-R Magazineさんに『雪の日は乗っちゃだめ』と言われていたのですが、わたしは失敗しないと分からないので。とにかく、愛車を預けるなら柴田社長のところしかないと感じてお願いしました。そのとき柴田社長に言われたのが『できるまで来なくていいから、お前はお金を作れ』と。そのため製作過程はほとんど見ていません」
柴田自動車は部品を3Dスキャンしてデータ化。最新の金属プリンターでパネルごと交換することを考え、準備していたというが、プリンター業者が多忙となり、出力が間に合わなくなってしまった。そのため、サビていたパネルは急遽鉄板から叩き出して成型することに。その時点でイベントまで残り2カ月、すべての鈑金作業を止めて、担当者がフル稼働で仕上げたそうだ。
シバタイヤブースでR’s Meetingデビューとなったmeron号。写真をご覧いただいてわかるとおり、ボディは外装だけでなく、エンジンルームまで新車のようなフィニッシュ。ボディに時間がかかり過ぎたため、室内はほぼ未着手、エンジンも最低限の作業となってしまったそう。しかし、オーナーのmeronさんでさえ「初めは自分のクルマじゃないと思った」と語るぐらい美しさは際立っており、まさに柴田自動車の技術力恐るべしだ。
外観はノーマルだが、車高はビシッと落とされ、足元にインストールされたBBS RI-Aにシバタイヤの295サイズという極太ホイールによって、程よいクラウチングスタイルとマッシブなリヤビューを演出。キレイなクルマはカッコいいを地で行っている。
今後は上述したようにD1ドライバーを目指すmeronさん。新たな挑戦のためにすでに仕事を辞めて、単身岐阜に引っ越したという。
「悩みましたけど、一番好きなことをして生きてきたい、それはやっぱりクルマです。けど、今回はクルマよりも自分のために決断しました。決めたからにはD1に最短で行きたい。簡単なことではないのは分かっていますが、無理と口に出したら行けないから、絶対成し遂げます」
「誰かの夢になれる人になりたい」その夢に向かってD1を目指す
無謀だというのは簡単だ。だが、21歳で自分の夢のために退路を断ってここまで決断できる人がどのくらいいるだろうか!? 個人的には未来に期待しかない姿を羨ましく思えたし、挑戦する姿を応援したいというのが素直な感情だ。ただし、参戦するマシンはBCNR33ではなく、別のクルマ。R33は嬉しいときも悲しいときにも隣にいてほしい相棒だから。
最後に夢だったR’s Meetingに参加してどうだったか、と聞いた。
「前日から24時間以上動き回っていますが、パーキングにいるGT-Rを見てからテンションが上がりました。会場に来てからはアドレナリンが出っぱなしなのか、まったく疲れませんね。もちろん、今までの人生においてダントツ1番です!」
「誰かの夢になれる人になりたい」その思いを胸にmeronさんは次なる夢に突き進む。