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【ミニバン&ワゴンのカスタマイズ30年史】車高短ブーム到来! 「シンプル」&「ラグジュアリー」全盛の2000年代前半とは

オデッセイ

究極までに車高を下げたオデッセイ。地を這うスタイルが魅力的だった

車高を極めるシンプル&ラグジュアリーの台頭

 ワゴン&ミニバンのカスタマイズの変遷を振り返る企画の第3弾。ワゴン&ミニバン&SUV専門のカスタマイズ誌である「ワゴニスト」が、1994年に創刊してから最近まで支持の高かったドレスアップの手法を順を追って紹介していく。第1回目はアメリカンとスポーツスタイル、第2回目はヨーロピアンとVIPに関して解説したが、第3回目となる今回は、シンプルスタイルとラグジュアリースタイルを紹介しよう。

ミニバンをよりオトナにドレスアップ!

 VIPメイクを極めた人たちがシンプル派にコゾッてリメイクとして転換していったのが、2000年〜2009年くらいの時代だ。「シンプルメイク」とは大型なエアロよりもショート丈のバンパーを採用して車高は低く、見た目はスッキリとしたフォルムが特徴のカスタマイズ手法だ。

 このころから急激に増えたのが、より車高を落として低く走ることに対してどん欲なユーザーだ。当時はエアサスが出始めたころで、圧倒的に車高調を支持するユーザーが多い時代であった。各ユーザーは車高の低さを追求するあまり大型のエアロが仇となり、路面などとの接触によりエアロを傷めてしまう人も少なくなかった。

 そこで登場したのが、純正サイズと同等くらいのショート丈であるエアロバンパー。車高を落としてもエアロを傷つけることなく、低いまま走行可能とあって大流行。純正のバンパーよりもはるかにカタチが洗練されていて、今で言うと純ベタ(純正バンパーでベタベタ車高)のような雰囲気だ。

 さらにホイールの深さやブランドにもこだわるユーザーが多く、オーバーフェンダーなどのボディ加工もこれ見よがしではなく、ナチュラル志向で攻める人が多く、どのクルマもさり気なくカッコよく仕上げられていた。

 ただ当時は今に通じるほどのベタベタの車高に支持が多く集まったが、車高調は全長調整式ではなく、ネジ式が主流。補正アーム類などの販売も限られた車種しかなかった。そのために足まわりの動きも制限され、乗り心地はお世辞にも今ほど良いとは言えなかったのが実情だったといえる。

シンプルメイクの派生系「ラグジュアリーメイク」

 ラグジュアリー系とは、シンプル系のエアロもしくはエアロレスで大口径のメッキホイールを履かせ、アメリカ西海岸で普通に走っている姿をイメージするようなカスタマイズ手法。シンプルメイクとはホイールのチョイスや細部の仕上げに差があり、VIPの流れを汲むものであったので、ネガティブキャンバー+深リムホイールという組み合わせが主だった。

 だが、ラグジュアリーメイクは、大口径メッキホイールが主流。さらにデザインは逆ゾリホイールと当時呼ばれていたすり鉢状のデザインを採用したディスクが新製品として数々リリースされ、豊富な選択肢から好みの一本を選ぶことができた。

 細部においてもアメリカ寄りな仕上げが推奨されていて、オレンジのサイドマーカーやUSコーションステッカーの採用、プラバイシー機能が無い素ガラスを取り入れりたりするなどの手法で、こだわりを表現する人が見受けられた。のちにラグジーとスポーツが掛け合わされたラグスポ、ラグジーとVIPが掛け合わされたラグVIPなどという掛け合わせジャンルも生まれた。

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 第3回目のカスタマイズ振り返り企画は2000〜2009年くらいまでの当時に大流行りしたシンプルメイク、そしてその派生系であるラグジュアリーメイクについて紹介した。このころから、顔面移植などの大技は身を潜め、より純正のスタイルをいかにカッコ良く見せるかに注力したカスタマイズが多かったように感じる。その流れは手法は変われど、現在も続いている。次回はそのシンプルメイクの進化系となるスタイルを解説しよう。

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