日本発祥の国際的モータースポーツ「ドリフト」、その足元が危うい
近年、ドリフト走行を禁止するミニサーキットが増えている。騒音の問題はもちろんだが、加えて他にもいろいろと問題が起きているため、やむなく中止している場合も多い。ドリフト走行にまつわる問題点とは何か、解説しよう。
※写真はすべてイメージです。
多くのドリフト愛好家はキチンとしているのだが……
意図的にタイヤを滑らせて、その技量を点数化して競技としたのは日本が発祥。今やアメリカやヨーロッパなど、世界的に親しまれているモータースポーツがドリフト走行である。
新型コロナウイルス以前は、日本のドリフトスクールを受けるために来日する外国人が珍しくないほど、メジャーなモータースポーツとして発展してきていたのだが、それに対してドリフトを禁止するサーキットも増えている。
ドリフト禁止の理由1 騒音問題
まず最も大きな問題は騒音。通常のサーキット走行に比べて、タイヤを意図的に滑らせるのでスキール音が鳴りやすく、その音が長い。キュキュッとなるのではなく、キューーーーーーーーー!! と音がしてしまう。さらにドリフトを維持するためにエンジンは高回転を維持する必要があり、エンジン音も大きな音が連続して発生する。
その両者の複合になるので、通常のサーキット走行よりも近隣住民からうるさく感じられやすい。とくに複数台が連なって走る「追走」のような状態になると、同時に大きな音が連続して発生し、余計にうるさく感じられてしまうのだ。
ただし、騒音問題はドリフト走行そのものに必ず付いてまわるもので、いかんともしがたい性質のもの。このあと記すマナーとは別の問題だ。
それから、ドリフトをたしなむドライバーのほとんどは真っ当でキチンとしている。それは当然のことで、筆者もドリフト走行を楽しんでいたこともある。そういったドリフトを愛する人からすれば、下記のことはありえないことであり、ドリフトをたしなむキチンとした人にも多大な迷惑がかかっていることなのである。
ドリフト禁止の理由2 サーキット内外への不法投棄
走行後のタイヤをサーキット内や、周辺に捨てていってしまう人がいる。とくにドリフト愛好家のためにタイヤチェンジャーを貸し出しているサーキットもあるが、現場で組み替えた古いタイヤをそのまま忘れたフリなのかワザとなのか、捨てていってしまう人もいる。また、タイヤチェンジャーを粗悪な使い方をして壊してしまう例もあとを絶たないという。
また、ドリフトというクラッシュしやすい競技がゆえに、クラッシュして割れたバンパーなどを外してそのまま捨てて帰ってしまう人もいる。粉々になったバンパーを持って帰っても捨てるだけなのだろうが、自分で処理するべき廃棄物をパドックに放置して帰るなんてありえない。