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米国で「車中泊」あらため「フリーキャンプ」に挑戦! キャンプ場以外での車中泊はリスクと背中合わせです──米国放浪バンライフ:Vol.10

まれに「8時間以内」など、駐車時間が制限されているところもあった

アメリカを気ままに放浪3カ月:20日目

 これまで2度にわたりアメリカを放浪してきた筆者。還暦を過ぎた2022年4月から7月にかけて、人生3度目のアメリカひとり旅にチャレンジしてきた。相棒は、1991年式トヨタ「ハイラックス」をベースにしたキャンピングカー「ドルフィン」。愛称は「ドル」。ロサンゼルスからセコイア&キングスキャニオン国立公園を経由して、サンフランシスコまでやって来ました。

寝床は3カ所、1人旅にはオーバースペック?

 ぼくのキャンパーの寝室について説明しておこう。メインベッドルームは運転席の上のハングオーバー。クイーンサイズくらいの広さがある。ひとりだから、もちろん十分なスペースだ。ベッドには、時計、ペットボトルの水、ヘッドライト、本、眼鏡、寝巻きなどが乱雑に散らかっている。

 今回、工夫したのは薄手の寝袋を2セットと毛布を1枚用意したこと。普段は毛布にくるまり寝袋に入るが、一番寒い夜は寝袋を二重にした。暑いときや昼寝のときは毛布だけで十分だ。アメリカの旅はいろいろな気候を経験する。この作戦は正解だった。

 メインベッドのほかに、サイドソファの背もたれを1回転させて簡単にベッドをセットすることができる。また、テーブルを片づける定番の方法でもうひとつベッドを作れる。つまり、3ベッド仕様というわけだ。2、3人で旅行をするならともかく、ひとつあればいいだろうと思うだろうが……。

5月19日 サンフランシスコ

 さて、サンフランシスコでベン(2008年の放浪を手伝ってくれたフィリピン系アメリカ人)とは会うには会ったが、ディナーを一緒に食べて1泊させてもらうはずが、ランチを食べて夕方、別れることになってしまった。家をリノベーション中だそうで、彼女が難色を示したようだった。あるいは、「泊めてもらうのは悪いよ。このクルマはもう家みたいなもんだから」などと、心にもない遠慮を真に受けられてしまったのかもしれない。

 結局、その日の夜はショッピングセンターの駐車場で泊まることになった。しかし、これはある意味、幸いだった。気になっていた「フリーキャンプ」を試すいいチャンスになったからだ。

アメリカで貧乏旅行の定番「フリーキャンプ」

 フリーキャンプとは、その名のとおり、料金がかからない場所に泊まること。レンタルモーターホームに乗り合わせて大陸横断をする学生たちが24時間営業のウォルマートを渡り歩くというのはよく聞く話だ。

 コロナ禍でウォルマートは夜11時に営業が終わるようになったが、朝6時に開店するためトイレの利用は相変わらず便利。駐車場でもフリーWi-Fiが使えるし、オーバーナイトで駐車していてもとがめられることはない。

 もうひとつの選択肢は、PilotやT/Aという、トラックドライバーを相手にしたガスステーション。24時間営業で駐車場はだだっ広い。店舗によってはコインシャワーやランドリーもあるし、食事関係も充実している。トラックはじめ、オーバーナイトで駐車しているクルマも多い。

ホームセンターの駐車場に泊まってみた

 ベンと別れた夜は、LOWE’S(ロウズ)というホームセンターの駐車場を利用した。営業時間はウォルマートと同じ。慣れないため6時から停めてしまい、何度もトイレのために入店したが、とくに何も言われることはなかった。ただ、深夜になっても駐車場が明るいのと、ウロウロ歩いているヤツがいるのは気になった(他人のことはいえないが)。

 その後も何度かフリーキャンプを経験したが、居心地がよかったのはフリーウェイのレストエリアだ。日本のサービスエリアのように店などはないが、安全で静かなのがいい。ただし、通行量が多い幹線のフリーウェイにしかないから、チャンスは少ない。ぼくのロードマップには、各地のレストエリアにしっかり丸印がついている。

あって良かった第2の寝室

 フリーキャンプで困るのは、外の光が眩しいのと、ベッドルームが外から丸見えになってしまうこと。ショッピングセンターなどでは、とくに危険を感じる。そこで役に立つのが、第2の寝室だ。外からの死角になるし、ブラインドがあるので駐車場の照明も避けられる。あってよかった、というわけだ。

 サンフランシスコで初めてのフリーキャンプは、無事に朝を迎えた。何気なく駐車位置を移動して朝食を済ませ、オークランドへ向けて出発の準備を整えた。長年の知り合いが「ウチの息子を訪ねたら?」と紹介してくれたのだ。見も知らない人だが、今度こそ1泊させてもらえそうだ。これもフリーキャンプのテクニックといえるだろう。

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