各種エンジンから2輪4輪とバラエティに富んだ展示品
BMW博物館の展示内容は、航空機用のエンジンメーカーとして創業し、後に2輪、そして4輪の自動車メーカーとして発展してきたBMWらしく、様々なエンジンにオートバイ&クルマの各種製品が展示されています。初めてBMWを名乗った1930年代のBMW 3/15や、第二次世界大戦前のスーパースポーツカーで各種仕様のBMW328も見逃せませんが、個人的には戦後のBMW復興をけん引し、ドイツの復興とモータリゼーションの普及拡大にもひと役買った“バブルカー”、イタリアのイソ社からライセンス供与を受けて生産したBMWイセッタに注目すべきだと思っています。
とくにイソ版と似たルックスの初期型と、BMWオリジナルのデザインとなった後期型の違いには興味深いものがありました。そして、そんな状況下でもスーパースポーツのBMW507を製作せずにはいられなかった技術者の気概を感じ取ることもできます。
またオートバイやクルマに関しては、市販のロードモデルだけでなくレーシングモデル……クルマに限って観ていってもBMW製エンジンを搭載したブラバムやザウバーのF1マシンからツーリングカーなどの“ハコ車”レース用までさまざまなレーシングマシンが展示されていました。
注目はレーシングモデル
とくにツーリングカーレース用のBMW 2000 TI(1966年のETC用Typ.121)やBMW 3.0 CSL(1975年のIMSA用Typ.E9)、BMW320(1977年のWCM用Typ.E21)、BMW M3(1989年のBTCC用Typ.E30)、そしてBMW M3 GTR(2004年のニュルブルクリンク24時間用Typ.E46)など栄光を築き上げてきたツーリングカーレース用の強力なマシン群が展示され、ツーリングカー王者の矜持をアピールしていました。
個人的にBMW博物館には思い入れもあります。というのも今ではライフワークともなった海外の自動車博物館行脚の第一歩として2009年に訪れていたからです。取材メモを見直してみても、ホッケンハイムで行われ、中嶋大祐選手が参戦していた英国F3選手権とル・マン24時間、そしてセパンで開催されたSUPER GTシリーズ。3週連続の海外レース取材の合間に10箇所の自動車博物館、さらにはシビック・タイプRの試乗、と盛りだくさんの3週間でした。
しかもその前後にはもてぎと富士でスーパーフォーミュラを取材するという、今では考えられないようなハードスケジュール。この時はレースの合間に自動車博物館を巡る、というのが海外取材行の基本コンセプトでしたが、いつの間にか軸足がレース取材から自動車博物館詣でに移行しています。
今では自動車博物館詣での“序に”レースも取材する、というスタンスに変わっていきましたが、今回の記事で紹介したBMW博物館は、4年前に2度目の訪問となった時の展示風景をメインに振り返っています。ちなみにこの時の取材ツアーは約3週間で30カ所の自動車博物館を巡り、FIAマスターズ・ヒストリックF1&スポーツカーを1戦とタイ・ブリーラムのSUPER GTを取材していました。
こちらもハードスケジュールでしたが、何とか無事にスケジュールを消化することができました。ただし馬齢を重ねた今では、ハードスケジュールはもう無理かな、とも。などと言いながらも、次はどの自動車博物館を訪ねて行こうか、とまだ見ぬ土地に思いを馳せる日々が続きます。