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アストンマーティン「ヴァルハラ」もお披露目! 英国車だけのラグジュアリーな「GBラリー」はスペシャルなコンテンツ満載でした

1965年式オースチン3000 Mk.III

エリザベス女王の即位70周年を締めくくるラグジュアリーラリー

 エリザベス女王陛下の即位70周年「プラチナ・ジュビリー」を祝うべく企画された2022年の「THE GREAT BRITISH RALLY」(以下GBラリー)。女王の崩御を受けて、その追悼と新時代の英国への希望をコンセプトにあらため、新旧すべての英国車を参加対象として11月18日~19日に開催された。今回はPC競技をはじめとした各種競技とエントリー車の姿をご紹介しよう。

新旧の英国車がゲーム性の高い「PC競技」にチャレンジ

 11月18日の朝、東京都千代田区一番町にある駐日英国大使館を出発し、中央高速道路を経由して相模湖東ICから「道志みち」へと向かう新旧70台の英国車たち。ほどよいワインディングコースの視界には見事に紅葉した山々が広がる。そして山中湖を周回し三国峠へと駆け上がる途中には雄大な富士山を望む景色だ。きっと心に残る愛車との思い出となっただろう。

 富士スピードウェイ内の「富士レクサスカレッジ」にてランチを済ませたエントラント。いよいよ競技開始である。「PC競技」(Prove Cronometrate、別名・線踏み競技)とは、スタート地点とゴール地点にセンサーを設置し、設定タイムにいかに近く正確に走るかを競う、ヒストリックカーラリーの本場であるイタリア、ミッレミリアでも採用されているゲームである。

 この区間計測が連続した競技性の高いヒストリックカーラリーもあるが、今回は目を三角にしたラリーではなく、ラグジュアリーなツアーである。未経験者でも楽しめるように、パーキング内に設置したパイロンを外周し、気の済むまでチャレンジできるが、タイムが縮まらずに差が広がってしまった場合は悪い方が採用されるというルールでギャンブル性もあり、ゲームとして楽しめる内容となった。最新英国車で参加のエントラントも何度もチャレンジする光景も見られ、車種問わず楽しめるPC競技であった。

アストンマーティン「ヴァルハラ」最新プロトタイプも登場

 続いて行われるのはショートサーキットを使ってのタイムアタックであるが、アトラクションとして、葉巻型といわれる1960年代のフォーミュラーカーの愛好家によるデモンストレーションランも行われ、普段目にすることのないモーターレーシング黎明期のマシンの走行はエントラントを楽しませてくれた。

 30度バンクを背景に記念撮影の後、競技を終えたエントラントはオープンしたばかりの富士スピードウェイホテルへとチェックイン。ディナー前のアペリティフまでのリラックスした時間を過ごす。ミュージアムと一体となったフロアには男性はブラックタイ、女性はドレスで正装したエントラントたちが集まり懇談の時間だ。

 そしてホテルエントランスに置かれたユニオンジャックの旗に包まれたクルマの周囲が慌ただしくなったかと思うと、なんとアストンマーティン「ヴァルハラ」の最新プロトタイプのアンベールだ。同社初のプラグインハイブリッド車のサプライズによる盛り上がりのなか、ナイトステージが始まる。

 パーティー会場から眺められる中庭にはブルーとレッドのライティングに映し出された新旧のアストンマーティンが整列、エントラントを迎える。進行役はガイ・ペリマン氏、イギリス王室御用達であるロイヤルワラントが与えられたシャンパーニュ「ボランジェ」の乾杯で華やかなディナーが始まった。

 GBラリーのエントラントだけのスペシャルな夜はまだ続く。新装となった富士スピードウェイホテルに併設されている「富士モータースポーツミュージアム」のナイトツアーだ。わが国のモータースポーツ史はもちろん、黎明期のグランプリマシン、世界のシーンで活躍した各カテゴリーの日本製のマシンたち。質の高いコレクションを堪能し至福の時間を過ごした。

元祖カントリージェントルマン、秩父宮殿下を偲ぶ

 富士スピードウェイホテルでの優雅なひとときを過ごしたエントラント。2日目最初の目的地は秩父宮記念公園だ。秩父宮殿下が戦中戦後の時期を過ごされた御殿場別邸であり、当時の生活の雰囲気を残した母屋、移築された車庫には元祖カントリージェントルマンというべき秩父宮殿下の暮らしぶりがパネル展示されている。広い園内を散策したエントラントは特別に野点を楽しむなど、園内でのひとときを満喫していたようだ。

 ちなみに秩父宮殿下は、1927年に日本に初めて輸入・登録されたアルファ ロメオである「RL」をかつて所蔵されていた(東京大空襲で焼失)。この日はエントラントT氏の愛車、1928年製インヴィクタを車庫前に展示させていただき、エントラントの記念撮影場所とした。

ゴールは華やかな横浜・みなとみらい

 エントラントは御殿場から箱根へのルートを楽しんだ後、3つのグループに分かれてランチタイム。この秋一番の見ごろである仙石原を経由し、芦ノ湖周辺を周遊してからGBラリーのゴール地点となる大磯ロングビーチへ。

 約半世紀前からジムカーナ競技が行われるなど、モータースポーツとも縁の深いこの場所では、GBラリー2度目のPC競技が行われた。競技を終えたエントラントは、そのままコースを進むとフィニッシュゲートでチェッカーフラッグを受け、2日間にわたったGBラリーは終了。

 表彰式の会場である最終地点は、英国と日本の玄関口となった港町・横浜だ。エントラント一行は一路みなとみらいへ駆けつけ、人出の多い横浜の土曜日の夕刻、現れた英国車たちに観光客も足を止めてその一団を見守った。

 ライティングにより盛り立てたインターコンチネンタルホテル大広間に集まったエントラントたちの顔は、特別な2日間を走り切った喜びの表情に包まれていた。ラリーPC競技の結果による表彰式に続き、抽選にて選ばれる協賛メーカーからの豪華景品の数々に、名前を呼ばれたエントラントは歓喜の声を上げるのだった。

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 たくさんの笑顔の中、エリザベス女王陛下即位70周年のプラチナ・ジュビリーという記念すべき年に行われた第2回目のGBラリーは閉幕。駐日英国大使館に始まるラグジュアリーな2日間のツアーは参加者のみならず、わが国での自動車文化のひとつとして、これからも語り継がれることだろう。

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