陸上自衛隊の人員輸送車として開発された
SUVブーム全盛の現在においても、なかなか街中では見かける機会のないモデル、それがトヨタ メガクルーザーではないだろうか。
メガクルーザーは1996年1月に販売を開始しているが、元々は陸上自衛隊の人員輸送車として開発された高機動車を一般用に仕立てたモデルとなっていた。そのため、当時のプレスリリースでも「災害時の救助・復旧作業や厳しい条件下での学術調査など、既存の車両では走行困難な状況の中で活躍できる新しいジャンルの4WD車」と記載されているほどだ。
最小回転半径は30系アルファードと同じ5.6m
ボディサイズは全長5090mm×全高2075mmとフルサイズミニバン並みとなっているが、全幅はなんと2170mmと圧倒的で、駐車場によっては枠内に収めるのが難しいレベルとなっている。
そんな堂々としたボディサイズでありながら、逆相違4WSを備えることで最小回転半径は5.6m。この数値は30系アルファード(3.5Lモデルを除く)と同等の数値なのだ。
またギヤを介してハブを駆動することで、ドライブシャフトの上方オフセットを可能としたハブリダクション機構を採用。37インチの大径タイヤを装着し、420mmという圧倒的な最低地上高を確保している。
駆動方式は当然4WDで、センターデフロック機構を備えたほか、前後デフにもトルセンLSDと緊急脱出性に優れたデフロック機構を標準装備。高低2段切替式のトランスファーを備えた4速ATと組み合わされる。
エンジンは4.1Lのディーゼルターボで、出力は155ps/39.0kg-m(のちに170ps/43.0kg-mへパワーアップ)。レイアウト的にはフロントミッドシップとなっていた。
乗り心地は意外にも快適
大きなボディを持つメガクルーザーであるが、乗車定員は6名となっており、レイアウトは前2名、後ろ4名と変則的。前席の運転席と助手席の間には巨大なセンターコンソールが鎮座し、オーディオはこの部分に運転席側を向いて装着されているため、ナビを装着しても運転中に見ることはままならないだろう。
またリヤは左右にフロントシート同等のシートが備わり、中央にバンのリヤシートのようなベンチシートが備わるというこちらも変則的なもの。その分ラゲッジスペースは広大で、最大積載量は600kgを誇っている。
メーカーオプションとしてサンルーフの設定があったが、これは大きなメガクルーザーに似合わない乗用車サイズのものとなっており、アルミパネルかつ脱着式となっているため、サンルーフというよりも脱出用ハッチと言った方がいいかもしれない代物となっていた。
そもそもの成り立ちからいっても非常に無骨な存在であるメガクルーザーではあるが、足まわりのレイアウトは4輪独立のダブルウィッシュボーン式サスペンションとなっており、乗り心地は意外にも快適。3トンに迫る車両重量も相まって、ドッシリとした走り味を見せてくれるのだ。