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日産「GT-R T-spec」にZ世代が乗ってみたら驚きの連発! 「メーカー純正ストリートチューニングカーですかっ!」

T-specのフロントマスク

迫力あるフロントマスク

R33GT-Rが現役のときに生まれた若手ライターが乗ってみた!

 日産「GT-R」の2022年モデルに設定された特別仕様車が「T-spec」です。第2世代と呼ばれる「スカイラインGT-R」のR33型が現役だった1997年に生まれた筆者が最新GT-Rを正直な気持ちでチェック。街乗りから高速道路、ワインディングとあらゆるシチュエーションで乗ってみました。

第一印象は「ノーマルっぽくない?」

 車両を借り受けたときの第一印象は「ノーマルカーぽくない……まるでチューニングカーのようだ」そんな印象でした。バリバリのチューニングカーのような派手さは無いものの、各種パーツがさりげなく、「このクルマは単なるGT-Rじゃないぞ」と主張してくる感じです。

 例えば、専用のレイズ製ホイールは細身のスポークで軽量な印象ですが、純正ホイールというよりも、より性能を求めたアフターパーツにありそうな雰囲気。リヤスポイラーもカーボン製となっていて、こんな分かりやすいポイントに塗装などをしていないカーボンパーツを使ってくるあたりに、「このクルマはノーマルとは違うのだ」という主張を感じます。

 そんな雰囲気は内装からも伝わってきます。T-specの内装はブラックと深いグリーンの組み合わせですが、このグリーンを組み合わせてくるコーディネートも純正らしくなく、大人のチューニングカー/大人のカスタマイズカーを感じさせる雰囲気です。

 また、GT-Rではすでにお馴染みなマルチファンクションメーターも、さまざまな情報を表示可能です。項目を確認すると水温、油温、油圧などサーキットを走る人なら欲しい情報をひとまとめかつリアルタイムに表示することが可能となっていて、プライベートでサーキットを走る筆者からすると「分かっているなぁ~」と思わせます。

街乗りは意外なほどに快適だが癖もある

 そんなチューニングカーチックな雰囲気とは裏腹に、乗り出してみると比較的快適な乗り心地で街乗りをこなすことができました。専用セッティングが施されたサスペンションを装備するT-specでは、ダンパーのセッティングでコンフォートモードを選択すれば、ほとんどの人が乗り心地に不快感を持つとは思えないほど。ノーマルモードでもややハードに感じますが、それは一般的なモデルと比べた時の話で、スポーツモデルとしては常識的な乗り心地です。

 では、どんな人でも快適かつイージーに運転できるのか? と聞かれると、そこは声を大きくしてYESとは言えない印象。例えば発進時の癖です。GT-Rには6速DCTが採用されているのですが、クリープが弱いDCT系ミッションの中でもとくにクリープが弱いと感じ、発進や駐車時は微妙なアクセルコントロールをしてあげないとスムースに運転することができません。

 駐車の時は「ヴァンッ、ヴァ~ンッ」とアクセルコントロールによってエンジン回転が低回転域で上下しながらの駐車となるため、音だけ聞いているとまるで3ペダルのMT車のようです。

 また、普通の人が快適と思えるかとどうかも疑問に感じるところ。確かに乗り心地は優れていますが、ありとあらゆるメカニカルノイズが聞こえてきます。ただ、その音量自体は大きくなく、車内での会話やオーディオ音源を楽しむことも可能です。エンジン始動時には駆動系の「ガシャガシャガシャッ」という音が聞こえますし、通常時も駆動系のメカニカルノイズがわずかながらですが、確かに主張をしてきます。

 また、高速道路を流れに乗って走行していると、2000~2500rpmあたりをタコメーターは指すのですが、そんなシチュエーションではV6らしい重厚感のあるエンジンサウンドが心地よく耳に入ってきます。クルマ好きならば思わず「ニヤッ」としてしまうシチュエーションですが、普通の人なら静かな方が好ましいと言われてしまうかもしれません。GT-R T-specでの街乗りは、ハイパワー車やチューニングカーなどが解っている人なら、快適に感じられるものだと思いました。

ワインディングは気持ちよく駆け抜けられる

 ワインディングに入ると重量感は感じるものの、重心が可能な限り低く真ん中に集められた感触があり、オンザレールで曲がっていく車両の塊感を強く感じます。実際にボンネットを開けてみると想像以上にエンジンは小さい印象で、この感触は納得です。キッチリとコーナー手前から荷重をかければ、安定感抜群かつ気持ちいいコーナリングを味わわせてくれて、ほかのクルマとは一線を画すほど早いタイミングでコーナー立ち上がりのアクセルオンができる感覚。軽快感はないものの、ハマればハマるほどワインディングが楽しいマシンといった具合ですね。

 また、サスペンションのセッティングはもっともハードなRモードも試しましたが、日本のワインディングではコンフォートモードがベストだと感じました。絶対的な速さは別かもしれませんが、しなやかに路面のギャップを吸収してくれるコンフォートモードの方が、走っていて気持ちよく、より踏める感触があります。

 3.8Lのエンジンは低回転域からトルクフルでタービンを回さずとも、ワインディングを気持ちよく流せます。しかし、3500rpmを超えたあたりでタービンが回り始めると、トルクがドカンと立ち上がってきます。このトルクの立ち上がり方はいかにもターボカーといったフィーリングで、現代のダウンサイジングターボとは異なる性格です。

 そしてビックリしたのがブレーキ。T-specには専用のカーボンセラミックブレーキが装着されているのですが、これが暖まってくるととても利きます。ブレーキ踏み始め初期のフィーリングが冷えているときとは大きく異なり、初期制動の立ち上がりが一気に早くなります。暖まったカーボンブレーキ初体験の筆者にとっては驚きのフィーリングでした。なお、走り始めの低速域でも止まらなくて扱いづらいということはなく、普通に使えて暖まるとすごくよく止まる。そんなブレーキです。

まさにメーカー純正ストリートチューニングカーだ

 あらゆるシチュエーションで実際にGT-R T-specを運転したわけですが、最初に感じた「チューニングカーのよう」という印象を、運転する度に、より強く感じました。メカニカルノイズの主張やトルクの立ち上がり方は、チューニングカーの乗り味そのもの。普段使いも可能でありながら、この雰囲気を持っているあたりは良くできたストリートチューニングカーといった感触です。ひと言で言えば「メーカー純正ストリートチューニングカー」といったところでしょうか。しっかりと乗ったことはありませんが、第二世代GT-Rを散々チューニングしてきたオジサマ方が上がりの1台として納得して選ぶ……。GT-R T-specはそんなイメージのクルマでした。

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