縦のグリップが素晴らしい理想のストリートラジアル
いきなり旧モデルですでに高評価を得た形だが、いよいよ新作のAD09に交換。サイズはAD08Rと同じ前後265/35R18だ。画撮り用の撮影を終えた後、そのまましばらく試乗に出てもらった。路面が多少乾き始めてきたこともあるのか、明らかにAD08R装着時よりも走りに勢いがある。アドバン・ネオバの最新作AD09の走りを堪能した平手選手は、その第一印象を次のように説明してくれた。
「最初に乗ったAD08Rと比べて、まずタテ方向の剛性が上がっていることに気付きました。とくにブレーキング時のスタビリティが高く、しっかりと減速しつつ安心してコーナーに入っていくことができます。ヨコ方向のグリップがいくら高くても、タテが弱いとどうしてもブレーキングに自信が持てなくなりますし、ターンインでステアリングを切っていく時もヨコ方向のグリップへの移行を探りながら操作する必要が出てきます」
「その点、AD09はAD08Rと同等かそれ以上のヨコ方向のグリップ力を持ちながら、タテ方向が強化されたことでターンイン時の安心感が明らかに高まっています。当然、減速側だけではなく加速側のトラクション性能も良いので、サーキットなどではラップタイムも確実に向上するはずです」
「それと、柔らか目のコンパウンドが奏功しているのか、AD09のほうが乗り味に高級感がありますね。ゆったり走っていてもしなやかですし、しっとり感があります。このR34とAD09の組み合わせは自分の理想にかなり近いです。このまま乗って帰りたいくらい気に入りました!」
平手選手いわく、AD08Rもポテンシャル的には今でも十分通用するとのことだが、新しいAD09はタテ方向のグリップ力と剛性感が強化されたことに感銘を受けたようだ。それでいてSタイヤのようなゴツゴツ感はない。サーキット派にはA052が用意されているだけに、新型ネオバAD09はグリップ一辺倒ではなく、剛性感としなやかさが同居するバランスの取れた進化を果たした。「ストリート最強」というコンセプトに偽りはなさそうだ。
(この記事は2022年4月1日発売のGT-R Magazine 164号に掲載した記事を元に再編集しています)