ジャガー・カー・クラブ創立50周年記念祝賀会が開催
日本国内においても、同じブランドのクルマを愛好する同好の士が集まって結成されたワンメイク・クラブは、国産車・輸入車を問わず決して少なくない。そんな状況のもと、今なお現役で活動を継続している輸入車ブランドのワンメイク・クラブとしては「MGカー・クラブ・ジャパン・センター」(1963年創立)に次ぐ歴史を誇るのが、1971年12月に結成された「ジャガー・カー・クラブ」(JCC)と思われる。
半世紀前に佐藤章蔵氏を中心として発足
ジャガー・カー・クラブは今から51年前となる1971年、「ダットサン1000」やトヨタ「スポーツ800」(通称ヨタハチ)の設計者であるとともに、ジャガーの熱心なファンとしても知られていた故・佐藤章蔵氏のもとに10数名のジャガー愛好家が結集し、発足したと伝えられている。
ジャガー・カー・クラブの活動目的は、英国の生んだ歴史的名車ジャガーを愛し、その価値を世間に知らしめ、保存していくこと。クラブ会員は現在80名ほどで、その所有車種は第二次大戦前の「SS」各モデル、また戦後型ジャガーでは「XK」シリーズ、「Eタイプ」、「マーク2」、「XJ」などをはじめとして、現在のモデルまで幅広く登録されているとのことである。
そんな歴史と伝統を誇るクラブが、ちょっと遅ればせながら50周年記念イベントを開催すると聞きつけ、クラブメンバーのお歴々には劣るもののジャガーの大ファンを自認し、このクラブとも長年の交流を持つ筆者も参加させていただくことになったのだ。
クラブ創立時にも使った貴賓館で50周年を祝う
「ジャガー・カー・クラブ創立50周年祝賀会」は、もともと本来の50周年である昨2021年に開催されるはずだったそうだが、新型コロナ禍によって1年延期を余儀なくされてしまい、51年目の2022年11月6日、晴れて50周年記念イベントの開催となった。
会場となった「グランドプリンスホテル高輪 貴賓館」は、じつは1971年12月のクラブ結成集会にも使用された、クラブにとって記念すべき場所。また11年前の40周年記念祝賀会でも会場に選ばれていた。
その美しい正面玄関前には、戦前ジャガーの最高傑作SS100と、1990年代の伝説的ハイパーカーXJ220を中心に、XK120ロードスターとクーペ、総計5台のEタイプ、スポーツサルーンの名作マーク2に改良型のSタイプ、雄大なサイズ感のマークXサルーンに、最初期型のデイムラー・ダブルシックス、そしてXJ-S V12コンバーチブルなど、ジャガーの歴史を彩ってきた珠玉のクラシックモデルたちが美しく配置。1911年の定礎という荘厳な貴賓館と合わせて、まさしく壮観のひと言に尽きるような情景が展開されることになった。
ジャガーを愛する大人のカークラブ
しかし今回の50周年記念祝賀会で、会場前に置かれていたジャガーたち以上に印象的だったのは、愛車とともに参加されていた素晴らしきメンバーたちの姿である。
御年86歳にして、じつに52年もの長きにわたって愛用しているEタイプOTSとともに、今なお国内各地を旅しているという田村 行会長は、軽妙なスピーチでも会場を沸かせた上に、玄人はだしのピアノ演奏まで披露。40年間も会長を務める田村氏は、間違いなくこの日の主役であった。
また29歳の時に購入し、それからじつに半世紀もの歳月をかけてレストアを完遂させたXK120ロードスターとともに登場したクラブメンバーもいらっしゃるなど、長らく継続しているクラブならではのストーリーにも触れることができた。
こうして50周年を迎えたジャガー・カー・クラブに思うのは、もはや若いとは自称できなくなってしまった筆者でも憧れてしまうカッコいい大人たちが集まった、大人の自動車愛好家クラブであること。ワンメイク・クラブとしての成熟度については、筆者の知る限り国内でもハイエンドにあると実感したのだ。