Mパフォーマンスパーツ仕様の登場にBMWファンが注目
ドイツのエッセンモーターショーにおいて、注目の新型BMW「M2」Mパフォーマンスパーツ装着車がワールドプレミアされました。
いまやチューニングやドレスアップのモーターショーとしては、ヨーロッパ最大規模となるこのエッセンモーターショー。しかし、自動車メーカーとしての出展は年々縮小されており、BMWもかなりのご無沙汰でした。ですが2022年の今回はこの新M2 Mパフォーマンスモデルと新型BMW M3ツーリングをメインに、最新のMモデルとMパフォーマンスパーツがプレゼンテーションされるということで、この日が待ち遠しかったクルマ好きも多いようでした。
厳戒態勢が敷かれるなかアンベール
ブルーの新M3ツーリングとともに並び、黒いカバーの掛かったM2 Mパフォーマンスモデルを目の前にしてドキドキワクワクが止まりません。すでにG87新型M2自体は発表されており、その特徴的なデザインには賛否両論ですが、良くも悪くも大きな話題になったことは間違いありません。
また、M2 Mパフォーマンスパーツに関しても事前にプレスリリースの写真でじっくり見ていたハズなのに、やはりこれは実物を見ねばと考えていたのは、決して私だけではなかったようです。この日はプレスデーでしたが、関係者のみならず、一般公開日よりも高額なチケットを手にした、数多くのファンも早朝からBMWブースに詰めかけていました。
日本でもニュースで放送されている通り、ドイツでは昨今の環境保護活動家の抗議運動が常識の範囲を超えていて問題視されています。最近もミュンヘンにあるBMWの本社大型ショールームに展示されていた高価なM8、はたまたイタリアで展示されていた値段の付けられない超貴重なアンディ・ウォーホルが手がけたM1のアートカーの実車も抗議運動の標的にされたとあり、舞台正面を中心に数多くの警備員を配置し、ピリピリムードを感じ受けました。
モータースポーツで得たノウハウを投入し新車と並行して開発
いよいよオープニングの挨拶とともに黒いカバーが外され、会場に大きなどよめきが起きました。初めて目にした新M2 Mパフォーマンスモデルの実車は、想像をはるかに超えるアグレッシブさにあふれ、このままレースに出られるのではないか? と思うほどにモータースポーツのDNAを最大限に生かしています。
M社そしてMパフォーマンスモデル、そしてモータースポーツセクションのエンジニアたちは、開発前の構想段階から密に作業をしており、BMWのモータースポーツ活動から得たノウハウや多大な蓄積データを、MモデルやMパフォーマンスパーツ作りに活かすことで、ユーザーによりスポーティな走りを楽しんでほしいという思いが詰まっているのだそうです。
一般的なショップが販売しているカーボンパーツと違い、Mパフォーマンスモデルのパーツは全て新型車と同じ工程で開発テストが行われているといい、厳しいドイツの安全基準TÜV(テュフ)の認証を取得しているパーツなので安心安全です。
ふんだんにカーボンを用いたパーツで構成
構成されるおもなパーツは、Mパフォーマンス カーボンフロントアタッチメント、カーボンサイドスカートアタッチメント、カーボンリヤディフューザー、カーボンリヤスポイラー。その名の通りカーボン(CFRP)製となっており、スポーティさと空力性能を強調してくれます。とくにリヤウイングはいままでのMパフォーマンスパーツとは大きくデザインが変わり、日本車のエアロパーツのような雰囲気もあり、日本人としては親近感が沸きます。
見た目だけのお飾りパーツではないため、トータルバランスが追求されています。これらのエアロパーツはひとつ着けると、性能的なバランスもあり、必然的にほぼ全部を着けていくことになるのは必至です。
開発コードG(現行モデル)からのMパフォーマンスパーツのエキゾーストは、4本出しをセンターの三角の中にまとめて収める非常に特徴的なデザインとなり、好き嫌いが分かれるところかと思います。M2、M3、M4用と同じ形状で出してきただけに、このデザインへの強いこだわりが感じられますが、too muchとの声もあるのも事実です。
すでにM3やM4、次にM2オーナーに「理想のMパフォーマンス」を伺ってみると、あのエキゾースト部分には意見がふたつに分かれるのが興味深いところです。また、軽量化はもちろんのこと、チタンサイレンサーシステムは、よりよいエキゾーストノートを奏でるとあり、音フェチには交換するか悩ましいところです。
インテリアも、カーボンとアルカンターラを用いたトリムなどをプラス。室内外をスポーティに演出していました。デザインに統一性を持たせているワークス製パーツなだけあって、ゴテゴテ感はなく、シンプルながらしっかりとした主張が出せるところがイイですね。最近は女性顧客も増えつつあるといい、性別や年齢を超えた幅広い層に支持されるところもポイントが高いです。
ホイールはレーシングカーのようなセンターロック式
このM2 Mパフォーマンスモデルで一番気になったのは、なんといってもホイールです。ひと目惚れしました。センターのプロペラマークは普段なら青と白、もしくは今年のM50周年記念エンブレムなのですが、艶消しのオールブラックで統一されていました。Mパフォーマンス担当の方に伺うと、センターロック式で、このホイール専用の工具が必要なのだとか。
フロアに価格表示はされていませんでしたが、一般的なBMW Mのホイールと比べるとかなり高価なうえ、工具類と一緒に揃えるとなると結構なお値段になるとのことでした。
DTMマシン由来のパーツを装着するM3ツーリング
M2と並んで展示され、注目を集めていたのがM3ツーリングのMパフォーマンスモデルです。M2同様にカーボン製のアイテムが多数装着されており、フロントスプリッターとカーボンエアロフリック(カナード)により、精悍な印象を与えています。リヤはバンパー両端に設けられるウイングレット、そして定番のディフューザーにウイングを装着し、M3の高性能をさらにレベルアップしてくれます。
エキゾーストも、M2同様にチタニウム製となり、純正マフラーに対して約30%の軽量となっています。最大20mmローダウン可能な車高調整式サスペンションやブレーキパッド、鍛造アルミホイールもプラスしてワゴンとは思えぬ存在感と運動性能向上を実現しているのは、さすがBMW Mといったところです。
日本では便利なミニバンが随分以前から大ブームですが、ここドイツではそのブームは届いておらず、変わらずツーリングワゴンが大人気です。年々減っているとはいえ、速度制限解除区域が設けられているアウトバーンのあるドイツでは、時間帯や交通状況によってはかなりのハイスピード走行が可能です。となると、空気抵抗で不利な四角いバンタイプよりも、ツーリングワゴンはハイスピードに強いうえ、荷物も積めるとあり、ドイツでは不動の人気です。
そのため、待望のM3のツーリング登場とあり、地元ドイツは沸いています。ベースである3シリーズもセダンよりもツーリングの方がドイツでは人気です。すでに11月からミュンヘンの第1工場で製造が始まっていますが、来年早々にデリバリーが開始とのこと。
Mパフォーマンスパーツを装着することによって、オーナーの個性や走りを追求できる大人気なアイテムですが、さまざまなレーストラックやシーンで数多くのデータを収集して開発されたスポーツサスペンションはとくに人気アイテムなのだとか。M3用は車高を5mm~20mmの間で下げることができ、重心を低くすることでボディロールが押さえられ、ハイスピード域からの急なコーナーへのブレーキングでもかなりシャープで安定した走りが楽しめると、スタッフの方からオススメを頂きました。
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そのほかには、M3ツーリングのモトGPセーフティカー仕様にM4やM135i、電気自動車のi4 M50などを展示。とくにiシリーズはBMWのお膝元であるミュンヘン市内でも見かけることはまだ少ないだけに、車両に加えてそれ専用のMパフォーマンスパーツも一緒に見ることができて新鮮でした。
内燃系、電気自動車、ハイブリッドなど、どのBMWオーナーも、統一感のあるスタイリッシュでTÜV公認のオフィシャルドレスアップは、結構高価なだけになかなか一気に揃えるのは難しいかも知れません。ですが、少しずつ買い求めてスタイルアップしていく楽しみ方もステキですね。