新車から使い続けている部品はいずれ不調を来す可能性が高い
タイミングベルトプーリーのベアリングが破損してしまうと、プーリー本体が落ちてベルトが外れてしまう。そうなると一瞬でバルブとピストンがぶつかってしまい、エンジンにダメージを負うことになる。定期的に乗っているならば10万kmという交換サイクルが一つの目安になる。だが、ほとんど動かしていない個体の場合、距離ではなく交換からどの程度年数が経っているかを意識しないと痛い目に遭う可能性がある。
それはエンジンオイルも同様で、交換から数百kmしか走っていなくても、数年経っていればオイルは確実に劣化している。シリンダー内のオイルが下がり、内部に錆が発生している可能性も。エンジンオイルは最低でも一年に一回は交換したほうがいいとのことだ。
そして、第2世Rで注意してほしいのが燃料ポンプのモジュレーターだという。
「R32は右のリヤフェンダー内にユニットがあり、設置場所の環境としては最悪です。電装品が外にあるようなもので、大抵の場合は腐っています。R33は右リヤサスペンションの取り付け部のストラットタワーにあるので腐ることはありませんが、サスペンション交換の際にユニットを脱着する必要があり、ちゃんと固定されずに戻されてガチャガチャと動いて壊れるケースがあります」
「ちなみに、R34はトランク内のナビユニットの下にあるのでトラブルはほとんどありません。ポンプのモジュレーターが破損すると突然エンジンが止まってしまうので、当店では壊れる前に対策することを薦めています。純正部品は製廃になっているため、作業は車載ECU専門のリビルトメーカー『キャニーエクイップ』に依頼し、内部基盤のリフレッシュを施してもらいます」
「こういうものだ」という思い込みこそが危ない
また「いつ交換したかわからない部品」は順次交換していくべきと警告する。
「新車から一度も換えたことがないということは、20年、30年も使い続けているということです。新車で購入してから乗り続けているワンオーナーならば換えたことがないパーツはイメージできるはずですが、中古で手に入れたという方は自分で判断するのが難しいでしょう。そういう場合は各部の点検と健康診断で、どこがダメになりそうか判断することができます」
「よくあるのが『こういうものだ』とオーナー自身が異変に気付いていないパターンです。来店された際、明らかにおかしな音が出ていてそれを指摘しても、いつもと同じでそれが普通だと思っている方もいらっしゃいます。突然音が出たり止まったりすれば故障として認知できますが、ずっとその状態で乗り続けている場合、それが正常だと思い込んでしまうのです。そのまま放置していたら大変なことになりかねません。そうならないためにも、半年に一度は健康診断を受けることを推奨します」
自分でトラブルに気付いていないことほど恐いモノはない。取り返しの付かない事態を招く前に早期発見に努めたい。
「あとは、たまにしか乗らないという方に気をつけてほしいのがバッテリーの状態です。毎回ジャンプスタートでエンジンを掛けて乗っているというのは最悪です。セルモーターが回ればエンジンは始動できますが、バッテリー信頼度が低下している場合、走行中にオルタネーターが頑張っているからなんとか走れているだけなのです」
「本来必要な電圧に達しておらず、燃調が滅茶苦茶な状態に陥っている場合もあります。それも『こういうものだ』と気付かずに乗っていると重大なトラブルの元になる可能性があります」と目黒代表は忠告する。
2年に一度の継続車検だけでは、危険信号を事前にキャッチすることは難しいと認識したほうがよさそうだ。
(この記事は2022年4月1日発売のGT-R Magazine 164号に掲載した記事を元に再編集しています)