ひと味違う個性を持ったiQを紹介
軽自動車よりも短い全長を持ちながらも安っぽさは皆無で、むしろプレミアム感すら感じさせるモデルとして、2008年に登場したトヨタ iQ。欧州のマイクロカー市場に投入するために開発されたモデルではあるが、日本市場にも投入され、ひと味違う個性を持ったクルマを求める層に一定の評価を集めた1台だ。
即完売となったiQ“GAZOO Racing tuned by MN”
そんなiQをベースに「GAZOO Racing」が手掛けたコンプリートカーの第1弾が、2009年8月にリリースされた「iQ“GAZOO Racing tuned by MN”」である。
このモデルは、直列4気筒の1.3Lエンジンと6速MTを搭載した欧州仕様のiQをベースとし(欧州仕様はハイオク仕様で+4psの98psを発生)、リヤをディスクブレーキに換装し、30mmダウンとなる専用サスペンションや16インチホイール&タイヤ、専用ブレース、タコメーターなどを装着したスポーツコンバージョンモデルだった。このモデルは100台限定でリリースされ、即完売に。
第2段の「iQ GRMN Supercharger」も即完売
その後を受けて2012年7月に発表されたのが第2弾「iQ GRMN Supercharger」となる。
こちらのモデルは車名にもあるように新たにエンジン(第1弾と同じく1.3Lエンジン)にスーパーチャージャーをドッキングし、純正比約30%アップの122psを発生(トルクは17.7kg-m)。それに合わせて6速MTのギヤ比はクロスレシオ化がなされ、990kgの車重と相まってかなりホットなモデルに仕上がっていた。
エクステリアも純正のスタイルを色濃く残していた第1弾とは異なり、全く別車種と思えるようなエアロパーツを纏い、フェンダーもブリスター化がなされてワイドボディとなっており、なんと3ナンバー登録に。赤と黒でまとめられたインテリアには、本格的なスポーツシートが装着され、高められた運動性能に対応していた。
またドアパネルには「GRMN」の文字をエンボス加工であしらうなど、特別感もタップリ。その分、価格も355万円と、第1弾の197万2000円から大幅にアップしていたが、こちらも限定100台は瞬く間に完売となっている。
iQ自体は残念ながら大人気車種とはならなかったが、そのポテンシャルを見抜き、GRMNモデルの第1弾として選択した先見の明はさすがといったところ。iQはあのアストンマーティンからも、「シグネット」というモデルのベースに選ばれるなど、各方面からの評価は高かっただけに、1世代のみで消滅してしまったのは残念である。