「富士サンロクミーティング2022」会場から気になる360cc軽をご紹介
戦前からオート3輪のメーカーとして広く知られたマツダ(東洋工業)が、自社初の4輪自動車をリリースしたのは1960年のこと。このときにリリースしたのは、軽自動車の「R360クーペ」である。
「4輪メーカー」マツダを世に知らしめた初代「キャロル」
空冷2気筒エンジンのR360クーペで軽自動車の生産に乗り出したマツダが、軽マーケットにおける存在感をさらに増すために1962年にリリースしたのがマツダ「キャロル360」だ。こちらはリヤエンドにアルミ製の水冷4気筒エンジンを搭載。R360クーペが2+2シーターだったのに対し、動力性能がアップしたクリフカットデザインのキャロル360は完全なる4シーターだった。
走りのよさ、使い勝手のよさ、スタイルのよさがバランスよく備わっていたキャロル360は、販売が好調だった「スバル360」(1958年デビュー/軽自動車市場の確立に貢献)の好敵手となり、装備が充実していたキャロル360の攻勢に対してスバル360がデラックスグレードの新設で対抗したことは有名なエピソードだ。
参考までに記しておくと、キャロル360は1963年に実施されたマイナーチェンジで軽自動車初となる4ドア仕様を追加設定し、利便性をアップ。一時期、軽自動車市場の主導権を握ったことすらあった。1970年まで生産されたキャロル360の後継モデルとして登場したのが「シャンテ」で、マツダはそれまでのRRではなくFRを採用したコンベンショナルなモデルで軽乗用車市場に復帰した。
かわいくて走りも楽しい「レモンカー」を平成元年から愛用
2022年11月6日(日)に朝霧高原で開催された「富士サンロク(FUJI36)ミーティング」という360ccカーばかりが集まるイベントに、イエローの1964年式キャロル360で参加していたFummyさん(54歳)も、マツダ製軽自動車の実力に惚れ込んだオーナーのひとりだ。キャロル360のグレードはスタンダードで、1989年から愛用しているという。
「ボディカラーが黄色なのでレモンカーと呼んでいます。スタイルがカワイイところが好きですね。キャロル360のことを知り尽くした名匠に整備してもらっているので、高速道路を普通に走れる点も魅力で、とにかく扱いやすいです。乗って楽しい1967年式のホンダS800クーペも所有していて、このエスハチもボディが小さくて面白いのですが、やはり、キャロル360のほうがあらゆるシーンでコントロールしやすいですね。以前はフィアット500やトヨタ・スポーツ800にも乗っていました」
こだわりモディファイてんこ盛りでイジりもエンジョイ
Fummyさんは、走ることだけでなく愛車イジりも満喫しており、レモンカーのディテールを拝見したら、フォルクスワーゲンのクラシック・ビートル用ルーフキャリアや、増設されたラジエターなどが目に付いた。フェンダーミラーと一体化したウインカーも気になったが、それ以上に目立っていたのが尾灯だ。
「尾灯は内側の半分がブレーキランプと夜や暗いところなどで点灯するテールランプを兼ねていて、外側の半分がウインカーになっています。なかなか個性的でしょ?」
どこかのイベント会場でレモンカーを見かけたら、Fummyさんならではのセンスで徹底モディファイされたキャロル360の細部をチェックしてみるといいだろう。