スポーツカー張りにアグレッシブなスタイリング
ワゴン&ミニバンのカスタマイズの変遷を振り返る企画の第4弾。ワゴン&ミニバン&SUV専門のカスタマイズ誌である「ワゴニスト」が、1994年に創刊してから最近まで支持の高かったドレスアップの手法を今まで3回に渡って紹介してきた。第1回目は「アメリカンとスポーツスタイル」、第2回目は「ヨーロピアンとVIP」、第3回目は「シンプルスタイルとラグジュアリースタイル」に関して紹介したが、第4回目となる今回はシンプル系からガラリとスポーツに振った、「プレミアムスポーツスタイル」、「NEOシンプルスタイル」を解説する。
高級感+スポーティを融合したプレミアムスポーツスタイル
シンプルメイクのあとにワゴニストに登場したプレミアムスポーツメイク。シンプルメイクの高級感あるスタイリングを下敷きにしながら、スポーツテイストを追加し高級セダンやクーペなどのオシャレなスポーツイメージを付け加えたスタイルだ。2000年代後半〜2010年代前半が最も盛り上がった時期で、低さやホイールにこだわりながら、全方位的にクルマをイジっていくのが多数派だった。
そのプレミアムスポーツが進化したハイパーユーロコンセプトは、ランボルギーニやフェラーリ、ポルシェなど欧州のスーパースポーツカーの登場に胸躍らせたユーザーたちが、そのテイストをミニバンに落とし込んでいったスタイル。もちろん出始めはそんなモノは世の中には存在しないので、ユーザーがスーパーカーの写真を片手にカーショップや鈑金工場などに通い、イチから作ってもらうなど手間の掛け完成させていた。
ある程度時間が経つと、こういったデザインコンセプトをベースに独自アレンジを施したシルエットを提案するエアロメーカーも数多く登場。それまでには考えられないほど、複雑で手が込んだエアロを商品として買えるようになった。
原点回帰のNEOシンプルスタイル
プレミアムスポーツスタイルとハイパーユーロコンセプトが流行り切ったあとに、原点回帰的に登場したのがNEOシンプルスタイルだ。昨今の純正エアログレード車などをベースにフラップや薄型のリップを装着し、純正の持ち味を生かしたスタイルを完成させていたスタイルだ。2010年代後半からイッキに広がり、純ベタ(純正バンパーでベタベタに車高を落とす手法)よりも一歩先を行くフォルムだ。
その肝は足まわりにあった。車高をはじめとしてホイールサイズやブレーキなど、徹底的に足まわりにこだわることで、カッコ良さを表現。エアロメイクの理想型としてはフロントは持ち味を生かしてシンプルなエアロで、リアは純正がスッキリしている車両が多いため、少しスポーティに仕上げるのがよしとされた。
それと同時並行してカスタマイズ市場から支持層を広げていったのはスタンス系である。ドシャコタンに加えてホイールや足まわりにこだわり、リアルなUSを標榜して作られたスタイリング。スッキリとした味わいが通好みだった。
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第4回目のカスタマイズ振り返り企画は、2010〜2020年くらいまでに当時のユーザーから支持を集めたスタイリングをおさらいしてみた。プレミアムスポーツやハイパーユーロコンセプトは大型のバンパーをフル加工しイチから作り上げる勢いで創作した大作が多かった。
そしてその後に続いたのがNEOシンプル系である。時代は巡るとは良く言ったもので、2010年代半ば〜後半に掛けて純正を生かしたシンプルなデザインが世の中から注目を集め、それは今なお現在も続いている。さて、それでは現在の流行りの兆しは何か? 次回ではそれを最終回として紹介しよう。