軽トラ並みのサイズにオフロードバイクのような走破性
地震大国と言われる日本だが、近年は異常気象による風水害も後を絶たない。1分1秒を争う人命救助のために、いかに早く災害現場の最前線にリーチできるか? 消防車のオーソリティ「モリタ」が開発した小型オフロード消防車「レッド・レディバグ」を紹介しよう。
開発のきっかけは熊本地震の現場
消防車のトップメーカー「モリタ」では、はしご車やポンプ車といったおなじみの車両から大小さまざまな特装車まで、消防にかかわるモデルをじつに幅広くラインアップしている。そんななかでもユニークな存在が、2018年に発売された小型オフロード消防車「レッド・レディバグ(Red Ledybug)」だ。
全長3450mm×全幅1760mm×全高2220mm(艤装時)という軽自動車並みのコンパクトボディに引き出し式のコンテナユニットを背負った構造で、荷台のコンテナを消火用、救助用、救急用、映像通信など、自由に交換できるのが大きな特徴となっている。そして登坂性能30度、アプローチアングル78度、デパーチャーアングル64度、水深40cm程度まで走行OK。「小さなウニモグ」とでも呼びたくなるほど、卓越したオフロード能力と汎用性を誇っているのである。
レッド・レディバグをなぜ開発したのか、モリタホールディングスのデザイナー・濱田貴行さんに聞いてみた。
「2016年に熊本地震が起こった後、現地に行って消防活動の課題をヒアリングしたなかで、路面が割れていたり土砂が流出していたりして、普段は数分で行けるような道でも数時間かかって最前線まで行けず、救出活動が遅れたというお話を聞きました。道が壊れていると歩いて行かざるをえず、重い機材を手で運ぶのは身体的負担も大きいし搬送量にも限界があります。私たちが販売していた消防車のラインアップはオンロード仕様なので、通常の消防車では走行困難な現場に行けるクルマを作ろうと。こんなクルマがあれば助かったかもしれない命を救いたい、という思いで作りました」