露骨な「パクリ」は文化の洗練と反比例して減っていく、はず?
「パクリ」はモラルハザードであり知的財産権の侵害である。かの大国・中国でもさすがに丸コピーという事例は減ってきたものの、「オマージュ」とか「インスパイア」といった障りのないカタカナに置き換えつつ、「パスティーシュ(様式や手法の模倣)」か「ミメーシス(形態や動作の模倣)」かという置き換え的なパクリは、日本にも少なくない。
それにしてもグレーゾーンを通り越してイエローカードかレッドカードがふさわしい衝撃ケースは、まだ大国の専売特許。例えばDFSKの「Kシリーズ」だ。
中国製の小型乗用車&商用車「Kシリーズ」
DFSKこと東風小康グループは、ホンダや日産、旧PSAやルノーの中国での提携先である東風汽車集団が、中国内の総合電機メーカーグループであるSOKONインダストリーと協業するジョイントベンチャーで、小型乗用車やユーティリティ車である「Kシリーズ」を製造している。
Kというネーミングが軽自動車を彷彿させる辺りですでにムズムズするが、あろうことかBMWのE46かE39あたりのキドニーグリルをド平面に展開したような、懐かしいけど不可思議なフロントマスクをしている。
バンやパネルバン、ハイルーフにキャブトラなども揃い、キドニーの真ん中上に置かれた真円ロゴまで、シリーズ全体でアイコニックな佇まいを醸し出してしまっていた。
本国ではフェイスリフトしたがフィリピンなどではなお健在
さすがにそのオーラに物言いがついたか、2015年からフェイスリフトし始めた2世代目となるKシリーズは格子グリルに改められたものの、いまだに1世代目も生産継続中で、フィリピンなどで販売展開している。K07バンに至っては、北朝鮮国内でプロパガンダ車両にも用いられているとか。笑いを通り越して切ない気持ちすら覚えそうな、でも恥という感覚は教えられないので、湧いてくるのを待つしかない。