デイトナ・スパイダー以来の半世紀ぶりに復活に踏み切ったフロントエンジンV12スパイダー
キャビンの後方にある左右のフライング・パットレスの間にはカーボンファイバー製のウイングが横断し、それによってあたかもタルガトップであるかのような印象を与えるのもこのSP51のデザイン上の特徴といえるだろう。
前後のホイールもSP51のための専用デザインだ。この1台のために特別に製作されたそれは、各スポークにカーボンファイバー製のウイングデザインが与えられ、進行方向の面にはトーンの異なるダイヤモンドカット仕上げが施されるという、じつに凝ったフィニッシュとなっている。ただし、サスペンションをはじめとするシャシーや、エンジンなどのメカニカルなパーツはノーマルの812GTSから一切変化はない。
カスタマー自身も積極的にその企画や作業に関与したというキャビンのデザインは、メインカラーにエクステリアと同様、アルカンターラのロッソ・パッショナーレを選択。例のブルーとホワイトからなるストライプはキャビンにもあしらわれ、細かく見ればステアリングホイールのステッチにもそれが採用されている。
フロントエンジンV12スパイダーの812GTSは彼らのスペシャル・プロダクトによって、さらに魅力的な姿へと変貌を遂げることになった。参考までに新たにワンオフの製作をフェラーリに依頼してから完成するまでの全プロセスには約2年という時間が必要とのこと。完成を待つ時間もまたフェラーリで頂点に立つカスタマーには至福の時間といえるのだろう。