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日産のスポーツカーは「シルビア」&「GT-R」だけじゃない! 「FRスカイライン」もチューニング隆盛期の立役者でした

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 日産自動車/AUTO MESSE WEB

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今も走り屋を魅了する「シルビア」&「GT-R」

 自動車メーカーが威信をかけて開発した高性能スポーツカーを市場に投入し、サーキットからストリートまでを大いに賑わせたのが1990~2000年代だろう。なかでも多くのステージで主役といえる活躍ぶりだったのが、日産「シルビア」(S13~S15)と、日産「スカイラインGT-R」(R32~R34)だ。いずれも新車が販売されていたころから高い人気を誇り、現在でもまったく色褪せない輝きを放ち続けている。

 いっぽうで日本の自動車史に名を残す名車に挟まれ、ややマイナーな存在となっているのが後輪駆動の「スカイライン」だ。今も昔もスポーツカー好きを魅了してやまないFRレイアウトを持ち、名機RB26DETTこそ与えられなかったが、血統を同じくする6気筒のRBエンジンを搭載する。豊富なチューニングパーツに手の届きやすい価格は、数多くの若者を魅了した。

 より気軽に買えるシルビアとフラッグシップのGT-Rに比べてマイナーかもしれないが、クルマとしての面白さや可能性は引けを取らない隠れた名車であるFRスカイライン。当時のチューニング界を振り返りつつ魅力を再検証したい。

FRスカイラインはドリフトブームでベース車として人気爆発

「スカイラインGTS-tタイプM」と呼ばれるHCR32が登場したのは1989年、RB20DETエンジンは215psを発揮し、新車の価格は約250万円と、若者でも頑張れば購入し維持が可能なギリギリのラインだった。

 折りしも世は魅せるドリフトの大ブームで素直な操縦性のFRを求めるユーザーが一定数おり、決して「GT-Rが買えないからタイプM」という消極的な選択ではなかったと記憶している。

 5ナンバーで16インチのタイヤが履けるコンパクトなボディ、吸排気系から足まわりまで不自由しないチューニングパーツ、エンジンを中心にGT-Rからの流用も比較的しやすいと、ベース車としての適正はマイナーどころかシルビアと変わらず。おまけにGT-Rには基本的に設定がない4ドアもあり、ファミリー層の需要にも応える懐の深さがあった。

32タイプMの走り

 エンジンはRB26DETTスワップこそそれなりの手間と費用がかかってしまうが、ブーストアップや少し大きなタービンに交換するだけで必要にして十分な性能が味わえる。より上を目指すならRB26用のコンロッドを使わずとも、2.2Lや2.3Lへの排気量アップも可能だ。

 R33にモデルチェンジしてからはエンジンが2.5LのRB25DETになり、パワーも当初こそ250psだったがR34ではGT-Rと同じ280psに進化。大柄になったボディも決してネガティブな要素だけとは限らず、ハイパワー化が進むドリフトでは太いタイヤを履くことができ、素材としての魅力がさらに増したことは間違いないだろう。

FRにこだわりデモカーを製作するショップも多かった

 プロショップのデモカーとしては確かにGT-Rのほうが見かける数は多かったが、後輪駆動の非GT-Rにこだわるチューナーやプライベーターも決して少なくなかった。ドリフト/グリップ/ドラッグの全カテゴリーで高い潜在能力を誇り、シルビアにはない6気筒エンジンならではの滑らかなフィーリングと、その気になればRB26DETTという最終兵器を使える将来性。FRスカイラインは名車に挟まれたマイナーな存在どころか、チューニング隆盛期を支えた立役者なのだ。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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