アメリカを気ままに放浪3カ月:26日目
これまで2度にわたりアメリカを放浪してきた筆者。還暦を過ぎた2022年4月から7月にかけて、人生3度目のアメリカひとり旅にチャレンジしてきた。相棒は、1991年式トヨタ「ハイラックス」をベースにしたキャンピングカー「ドルフィン」。愛称は「ドル」。ロサンゼルスからサンフランシスコまで北上し、その隣のオークランドで1泊してから、さらに北の町へと移動します。
毎日クルマにつきあってネガ要素が消えてきた
すでに旅も1カ月。ぼくとキャンピングカー「ドル」の関係も親密になってきた。「さあ、今日はちょっと登り坂があるから、頑張れよ」、「少しオイルが減ってるから足してあげようか」などのコミュニケーションは毎朝のルーティンになっている。
信頼関係が強くなった要因は、不具合をいろいろと直してきたことが大きい。たとえば、走行中のノイズ。ぼくはなんでも食べられる、どこでも寝られる、風邪すらひかないという放浪向きの体にできているが、不快なノイズにはきわめて弱く、すぐに頭痛がしてしまう。家にいてもそうなので、一種の過敏症なのかもしれない。
最初に運転したときから下手な鼓笛隊のようにガタガタとうるさかったため、少しずつ修繕をしてきた。まず、いくつかの棚の扉がゆるんでいてカタカタいう。これはマグネット式のストッパーをゆるんだ箇所に追加した。レンジの蓋のシンバル音はタオルを挟むことで解決。
それでもカタカタ音が消えないので、ナネッタを乗せて彼女の家のまわりを走ってみた。すると、メインの原因は網戸だという。これは気がつかなかった。窓ガラスを開けて網戸にすることはあるが、網戸を開けることはないと判断してテープで止めてしまった。これでノイズは、ほぼ解消した。
古いキャンピングカーは細かいトラブルには事欠かず
われながら傑作だと思ったのは、スマートフォンをステアリングコラムの上にセットするためのアタッチメント。ハードウェアショップ(金物屋)でブラケットを買い、マジックテープで脱着できるようにした。これでナビが格段に使いやすくなった。
運転中に突然、冷蔵庫のドアが開いて、レタスが飛び出してきたことがあった。ドアポケットに重いものを入れていたことが原因だが、再発防止のためにテンションコードとタイラップを使ってストッパーを新設した。これもなかなかうまくできた。
フックアップサイト(電源と給排水を備える)にチェックインした際、ボディ側のインレットから水が勢いよく漏れてレンジャーに注意されたことがあった。パッキンがダメなのだろうと思い、ハードウェアショップで相談すると、ゴム自体は傷んでいないという。「ワセリンでも塗ってみたら」とアドバイスされ、リップクリームを塗ったら水漏れが収まった。これもうれしい経験だった。
ある日の走行中、バックミラーに白いものが写ったので驚いて振り返ると、キッチンタオルが妖怪の一反木綿(いったんもめん)のようにひらひらと泳いでいた。安全なところに停車したときには、キッチンタオル1本分がすべて床に広がってしまっていた。キッチンの窓を閉め忘れたことが原因だが、それ以来、忘れずに輪ゴムで止めるようにした。