欲しいと思うクルマを自分で作ってみた
こんなクルマがあったらいいなぁ、という思いから、軽カーで自作ピックアップトラックの製作に挑んだのが、カスタムに情熱を傾ける人物として有名な下関在住の「たけヤン」さん。ベースはスズキ「ラパン」で、大胆にもBピラー以降をカットしてオープンデッキの荷台を作りピックアップトラックにしてしまった。
ラパンにピックアップは、ない
「誰も見たことがないマシンリメイクを目指し、カッコ良く目立ってやろう!!」そんなコンセプトでこのラパン ピックアップトラッカーは生まれた。オーナーであり、ビルダーでもあるたけヤンさんは、お店に頼ることなく、作業のすべてを自らの手で行ったというから凄い人物である。
前方にセダンやクーペのようなボンネットとキャビンを持つ車体に、トラックの荷台がくっついたスタイルをピックアップトラックと呼ぶ。代表的なところでは通称サニトラ──「サニー トラック」がまさにそれにあたる。
たけヤンさんは、そんなサニトラ風の改造法を取り入れながらも、オリジナリティあふれるカスタムを楽しむべく、細かい部分にもこだわってラパン ピックアップトラックを完成させた。
オープンデッキの荷台はラパンのラインを残さないようにするために、FRP製の外装パネルを作って成形。メリハリをつけるためにエッジを立たせる処理を施すことで、トラッカーならではのフォルムを作り出した。また、より車体を長く見せる工夫として、純正のリアバンパーの位置まで荷台を延長しているのもポイントだ。
完成したラパン ピックアップトラックは、このまま普通に販売されていてもおかしくないほどの出来栄え。前後バランス的にも狙った通り大成功でカッコ良くキマッている。
1056個のタッピングビスを打ち込む
しかし、クルマとして魅力的になったものの、カスタムカーとして見た場合、あまりにもバランスよくまとまったことが原因で、インパクトに欠けて目立たない、ということが発覚!! そこで、たけヤンさんはより目立つ工夫をこのラパンに施すことを決意。その方向性と仕様がズバリ、陸上自衛隊仕様なるものだった。
プレスラインも無くして綺麗に作り込んだボディだったが、軍用車両ならではの無骨さを表現すべく、容赦することなくタッピングビスを1056個もパネルに打ち込んだ。友人に戦車みたいと言われたときにはうれしかったと話す。また、カラーは軍用カラーとしてお馴染みのオリーブのマッドカラーにオールペン。より迫力と凄みを演出するためにオーバーフェンダーも追加し、ワイルドさに磨きをかけた。
パーツ的には前後バンパーは純正オプションのハーフスポイラーを装着させた状態。グリルはマツダ「スピアーノ」用をセットしている。サイドステップはオリジナルで園芸用のパイプとアルミ板を組み合わせての自作だ。荷台にセットしているテールランプは「ワゴンR」用を移植し、アピール度をより高める工夫としてマフラーは4本出し仕様にした。
かなりのローダウン化をしているが、これはボルドワールドのエアサス装着によって作り出した。通常の車高調ではここまで落とすことができないので、オーナーのお気に入りポイントでもある。
内装はピックアップトラックらしくアメリカンテイストな仕上げ。シートにムーンアイズのTシャツを着せて、ステアリングもムーンアイズ製ビレットステアリングを装着する。バイザーカバーはオリジナルのMARVEL仕様で、ルーフライニング全体にスパイダーマンのマットを貼って遊び心あふれるポップなイメージを表現している。
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徹底的にやり尽くしたラパンベースのピックアップトラック。これで終わりかと思いきや、オーナーいわく「今後の予定はオーディオ系がノーマルのままなので、光物も含めて魅せるオーディオカーとして作り込む」とのことだった。