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バブル期に流行ったヒロ・ヤマガタ氏のアートカーが日本で販売! 「メルセデス・ベンツ」に描かれたモチーフとは

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: 武田公実

「二台のアースリー・パラダイス作品」

 このほど「ワクイミュージアム名車継承販売会」にて展示・販売されたのは、ヒロ・ヤマガタ「アースリー・パラダイス」シリーズに属する「ウェディング(WEDDING)」と「シェル(Shell)」の二台。紫に近い濃紺をベースにたくさんの鳥が描かれている作品がウェディングで、純白をベースに巨大な貝殻が描き込まれている方がシェルである。

 ウェディングについては、リアフェンダーにはヤマガタ氏のサインとともに「1996」の文字も描き込まれていることから、この年に完成したものと推測される。

 本革レザーと天然ウッドで構成されるインテリアは、二台ともにメルセデス・ベンツ220カブリオレAの正しいスペックで30年前にレストアされたまま、現在でもほぼ完ぺきなコンディションを見せていた。

 いっぽうアクリル絵の具で描かれたボディのペイントは、順当に「枯れ」、つまり艶落ちやひび割れなどを帯びてきているものの、この経年変化もまたヤマガタ氏が意図したものという見方もあるようだ。

 実は、この二台のオーナーは同一人物。ヤマガタ氏の描いたアートワークを守るために直射日光を浴びさせない、あるいは水には濡らさないなどの「ルール」を自らに課し、これまで大切に保有してはきたものの、入手から長年の月日を経て、そろそろ次代の「文化財預かり人」に継承する時期を迎えたと考え、この作品を真に理解でき得る愛好家のみを対象として、売りに出すことを決意したという。

 テクノロジーと自然の調和を、継続する価値の象徴たるクラシックカーを媒体として表現するという現在のSDGsにも通じる考え方を40年も前に着想し、それを見事なアート作品として体現したアースリー・パラダイス「ウェディング」と「シェル」。この稀代のアートカー二台に、ワクイミュージアムでは双方とも2000万円のプライスを設定した。

 近年の国際クラシックカー市場において、メルセデス・ベンツ220カブリオレAの相場価格が1500~2000万円前後で推移していること。そしてこの作品の知名度とカリスマ性を考慮すれば、この販売価格はむしろリーズナブルと感じてしまったのだが、その想いが的中するように、先行販売された「ウェディング」はイベント期間中に次なる文化財預かり人が決まり、「シェル」も現在商談が進行中とのことである。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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