「走るラブホ」は健全なアウトドアのためのアレンジとしても通用する
ボックス型ミニバンが現代の「走るラブホ」として成立しやすい決定的な理由は、空前の車中泊ブームにある。平成時代には通用しなかったかもしれないが、ボックス型ミニバンの後席をフルフラットにした状態は、イコール車中泊車としての室内空間であり、健全なアウトドアのためのアレンジとして通用するのだ。
相手が、なんで車内がこんなふうになっているの? と怪しんだとしても、そう説明すれば、むしろアウトドア、車中泊に対する憧れや期待が膨らみ、「私をスキーに」ならぬ、「私をアウトドアに連れていって」となるかもしれない。
アウトドア→車中泊→イチャイチャという流れは、ある意味、今となっては決して不純ではない。それを叶えてくれるのが、ホンダ ステップワゴン、日産セレナ、トヨタ ノア&ヴォクシーといった新旧のボックス型ミニバン(の2列目ベンチシート仕様+フラット化のためのマットレスやクッション枕)なのである。
またはホンダ フリードのような5ナンバーサイズでも室内広大かつ、ベッドアレンジが行いやすいコンパクトミニバンなのである。AC100V/1500Wコンセントが付いているHVモデル(ノア&ヴォクシー、先代ステップワゴンに設定あり)なら最強だろう。
軽自動車やプチバンでも、車内のベッド化や車中泊は可能だが、ポイントは、何かあったときにすぐにクルマを移動させられるよう、前席がそのまま使える状態であること。軽自動車やプチバンでは、室内長の関係からそれは難しい。やはり、ボックス型ミニバンの2/3列目席フラットアレンジが車内のベッド化としては適切なのである。
ただし、車種を選択する前に、純正、非純正を問わず、すべてのウインドウを覆う、ジャストフィットするプライバシーシェードやカーテンが手に入るかを確かめたい。筆者は以前、2代目ホンダ オデッセイに乗っているときに、自作で全周張り付け式遮光シェードを自作し、2/3列目席をリビング&ベッドルーム化していたが、採寸から修正、完成までけっこう大変だった。なお、前席背後のパーテーション、リアウインドウのシェードは、走行中は開けておくこと。デジタルルームミラーがあればより便利に使える。
一方、そうした「走るラブホ」的車中泊カーは、災害時にも威力を発揮する。車内がマイ避難所になる。ペットと暮らしている人は、とくにイザというときに使えるだろう。