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なぜトヨタ「ハリアー」は爆売れした? BMW「X5」より時代を先取りした元祖「クロスオーバーSUV」とは

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人

上質な走りと室内で高級車としても認知された

 また初代ハリアーにはフラッグシップモデルにV6の3L(1MZ-FE型)を搭載。パワーユニットそのものもエレガントだったうえ、周辺にも液封マウントや、世界初だったエンジン負圧を利用して振動を抑制する仕組みのアクティブコントロールエンジンマウントの採用なども。こうした手段により、ザックリとした評だが、なめらかで上質な走りを実現していたことが、初代ハリアーの何をおいてもの魅力だったのだと思う。

 デザインは好み、主観にもよるので、あえて書かせていただくと、ハロウィンのカボチャの口元のようなフロントグリルなど、個人的には「まあお好きな方はどうぞ」の印象も持ったが、まさしく当時のウィンダム(レクサスES300)をSUVに仕立てたコンセプトはご承知のとおり好評を得て大ヒット。初代ではフラットなフロアにより前席横方向のウォークスルーを実現するなど、室内空間の居心地も上々で、高級車としても認知された。その評価の高さをもとに、2003年にはキープコンセプトの2代目を登場させ、エアサスペンションなどメカニズムも一層充実させたクルマへと進化したのだった。

北米&レクサスとの関連で複雑な歴史を歩むことに

 なおハリアーは、もともとは北米市場向け、レクサスチャネルのSUVモデルである「RX」としても発売されていた。ところが2005年にレクサスが日本市場でも展開されることとなり、2009年1月には、本来3代目ハリアーとなるはずだったモデルが日本市場では「初代レクサスRX」として登場(一時期、2代目ハリアーも併売された)。

 このレクサスRXは2015年にはスピンドルグリルを備えた2代目(北米市場では日本市場向け初代ハリアーと同型の初代RXから数えて4代目)へと進化し、同年11月には新型に切り替わる。話は少々ややこしいが、2013年になると、日本市場専用にレクサスRXとは別のモデルが仕立てられ、これが「3代目ハリアー」となり、2020年にはフルモデルチェンジを受け、今度はこのモデルが「ヴェンザ」としてRXとは別に北米市場にも投入されることとなり現在に至っているのである。

 また初代ハリアーの時代には、いわば兄弟車だったモデルに、よりプレーンなスタイリングの「クルーガー」があり、このモデルは海外市場には「ハイランダー」として投入され、最新モデルでは8名乗り仕様などを設定している。紆余曲折、波乱万丈、数奇な運命……などと言うと物々しいが、じつはいろいろな経緯を踏んで今に繋がっているのがハリアーでもある。

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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