クルマを見ただけでは思い出せないマイナーモデル
各メーカーからあまたの車種がこれまでリリースされてきた。今回はそんな数多く存在するクルマたちの中から、いまとなっては記憶の片隅に追いやられてしまったマイナー車に再びスポットライトを当ててみたいと思う。
ちなみに今回は、実際に見かけることは稀ながらも知名度の高い車種ではなく、名前を聞いてようやく思い出すレベルの車種をピックアップしてみた。もちろんその車両を貶める意図は全くないのでご理解いただきたい。
日産オースターJX
初代モデルは2代目「バイオレット」の兄弟車として誕生した日産「オースター」。1981年に2代目へとフルモデルチェンジを果たしたタイミングで新たに「JX」が車名につけられ「オースターJX」が正式名称となった。
メカニズム的には兄弟車の「バイオレットリベルタ」と「スタンザFX」と共通のFFレイアウトとなっていたが、これは日産が新たに開発した新開発のプラットフォームを採用していた。
オースターJXは兄弟車の中では最もスポーティなキャラクターが与えられていた。バイオレットリベルタとスタンザFXに設定されていた実用性重視の5ドアハッチバックは用意されず、4ドアセダンと3ドアハッチバックというラインナップ。
なかでもオースターJXのみに設定された「1800GT-ES」は、専用に固められたスポーティサスペンションを備えていたが、FF黎明期のモデルということもあってかそこまで人気とはならなかった。
三菱シグマ
三菱の「Σ(シグマ)」と言えば、同社の中型車である「ギャラン」の3代目~5代目モデルにつけられていたサブネームというイメージが強いのではないだろうか。そんな伝統あるシグマを車名としたのが、1990年に登場した高級セダンだ。
このモデルは先に販売を開始し、一躍人気車種となった「ディアマンテ」(初代)の実質的な兄弟車であった。ピラードハードトップのディアマンテに対し、サッシュ付きドアを採用する4ドアセダンボディとなっていたのが大きな違い。
それゆえ、全高はディアマンテよりも25ミリほど高くなっており、室内高もそれに合わせて高められていたため、居住性はシグマの方が優れていた。ただ、このボディはシグマのために作ったものではなく、欧州向けに作られたものを国内でも販売したというのが実のところだった。
ただ、ディアマンテのヒットの要因のひとつにそのスタイリッシュなフォルムも含まれていたため、シグマはディアマンテほどの人気を獲得することはならず、ディアマンテが2代目へとフルモデルチェンジを実施するタイミングで統合されて消滅してしまった。