コロナ禍で増えた移動販売車
コロナ禍で移動販売車の需要が右肩上がりで伸び、現在、最も活気がある注目の市場のひとつと言われている。東京都の移動販売車の営業許可件数を例にすると、その数は1989年(平成元年)が415件だったのに対して2022年はその約8倍にも上る3397件にまで増加している。まさに空前の移動販売車ブームと言える状態で、街中ではお洒落なキッチンカーが並ぶ光景が日常になっている。
移動式の美容サロンカー
キッチンカーではなく訪問美容の観点から、フォルクスワーゲン「タイプ2」(通称ワーゲンバス)を使って移動式の美容サロンカーを作ってしまったのが栃木県・宇都宮市に「アントルシャン美容室」を構える山崎貴章さん、佳子さんご夫婦だ。
そもそも山崎ご夫婦が「美容サロンカーを作ろう」そう思ったきっかけは、不便な思いをしている人たちの手助けをしたいという気持ちからだった。
山崎さんに話を伺うと、次のような理由から美容サロンカーを作ろうと思ったそうだ。
「病気や障害をお持ちの方やご家族の介護をされている方、そして、妊娠中や乳幼児のいる方、ご高齢で外出が困難な方、さらに精神疾患の方など、様々な理由で髪を切りに行きたいけど、お店に訪れるのが難しい方がたくさんいることに気づきました。そうした人たちのために、実店舗とは別に、こちらから出向いて、訪問し施術ができるクルマがあったらきっと喜んでもえるのではないか。そんな理由で美容サロンカーを製作しようと思いつきました」