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VW「タイプ2」を移動式の美容サロンカーにしたオーナー夫妻の切なる想いとは? 「ヘアカットで笑顔にしたい」

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TEXT: 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)  PHOTO: 青木邦敏

むかし乗っていたタイプ2のベース車探しから

 最初の段階ではVWタイプ2にこだわっていたわけではなく、しっかり車内で立った状態でお客さんを迎え、施術が出来れば良いと考えていたそうだ。広さがそこそこあるクルマで、移動型である以上、タフな使い方をしても丈夫で壊れない。そんなベース車のことを考えていると、ふと過去にずっと好きで乗っていたVWタイプ1(ビートル)やタイプ2の事を思い出したという。

 とくにタイプ2はよくキッチンカーとして使われることが多い。室内もそこそこ広く、自由にレイアウトできる。それに空冷VWエンジンは、実際に乗っていたから、とても丈夫で壊れにくいことが分かっている。それに何よりもタイプ2の美容サロンカーなら、見た目もお洒落でお客さんにも喜んでもらえるはず。そこで早速、ベース車探しを開始したそうだ。

 しかし、これがとんでもなく大変だった。実際、ベース車を探してみると、通常のタイプ2ではルーフが低く、美容スタッフが立ったまま施術することが出来ない。そこで、室内にゆとりがあるタイプ2のキャピングカーとして知られる「ウェストファリア」を探すことに。だが、これもスムーズにはいかず、そのほとんどがポップアップルーフモデルだった。

 タイプ2では難しいかとあきらめようとしたときに、知り合いのVWショップから連絡が入った。それは、福島県の納屋にVWタイプ2ウェストファリアのハイルーフ仕様が眠っているという情報だった。

 すぐに現地に向かって現車を確認。けっこう傷んでいたが、なんとか修復可能だったので購入。レストアしながらサロンカーとしての装備を加えていくことになる。ここからの作業は、はっきりいって山崎貴章さんのこだわり、というかほとんど趣味的な要素が加わったリメイク&製作作業になったらしい。楽しみながらレイアウトと装備を仕上げていった。

店舗と同じ椅子を設置

 店舗と変わらない質を提供するために、VWタイプ2ウェストファリアの内装は冷暖房完備で、換気システムとなるベンチレーターも装備。シャンプーカットもできるように温水シャワー付きの美容サロンカーとして見事に完成。

 車内に設置した椅子は実際の店舗で使っている物と同じで、道具も含めて仕事のやりやすさを考え、店舗と同じ物を揃えている。

 車内は、清潔感のある白い壁にお洒落なオールドスタイルのアンティーク家具の組み合わせ。オールウッド仕上げで、とても落ち着ける空間だ。こんなお洒落な美容サロンカーなら、誰だって一度は経験したいと思うだろう。

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  • 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)
  • 青木邦敏(AOKI Kunitoshi)
  • 1969年生まれ。某出版社でドレスアップ誌、チューニング誌の編集長を歴任。2006年に自動車・バイク専門の編集プロダクション株式会社バーニーズを設立。自動車専門誌をはじめ、チューニング、カスタム系、旧車、キャンピングカー、アウトドアに関する媒体を新たに立ち上げる。これまでの愛車は、セリカXX、スカイライン、AE86、AE92、シビック、スープラ、シルビア、180SX、ロードスター、RX-7、BMW850iなどなど。他にもセダン系、バン系、ミニバン系など数多くのクルマを乗り継いでいる。
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