人生初のクルマが「タンドラ」
「実はこのタンドラがこれまでの人生の中で一番最初に買ったクルマなんです」と話してくれた飯田辰経さん。最初にして超ド級のフルサイズトラック、さらに、見た目もカッコ良く仕上がったオーバーランダー仕様、このギャップが凄まじいのだが、どうして初めて購入するクルマにタンドラを選んだのだろうか。
タンドラの所有歴は9年。それまではずっとバイクに乗っていて、7台も乗り継ぐほどバイク好きだったという。しかし、バイクに乗っている時に交通事故に遭い、遂にバイクを降りることを決意。バイクに乗っていた頃はモトクロスを趣味にしていて、トランポとして使われていたタンドラを見かけることが多く、もしクルマを買うならタンドラにしようと決めていたそうだ。
海外サイトを見てオーバーランダー仕様に決める
いきなりのフルサイズで、実際に運転した時に戸惑いや不便なことがなかったか訊ねると、地元が茨城県でわりと広い道を選んで走れば問題はないらしい。ただ、ショッピングモールの駐車場では駐車スペースの面で気を使うことが度々あり、広いスペースを求めて入口から遠く離れた場所に置かなくてはいけない場面が多い。そのため、よく妻から「遠いよ」と真顔で怒られるそうだ。
カスタムについては、アウトドアが好きだったこともあって、タンドラが納車される前から海外サイトで色々なスタイルを見て参考にした。その中にオーバーランダーとしてカスタムされたタンドラが多かったので、自分も思い立ったら即キャンプに出掛けられる仕様にするべく、愛車のオーバーランダー化を始めたそうだ。
車両購入代金は約420万円、いざオーバーランダー仕様にしたくても有名ブランドのパーツは高くて手が届かない。そこで、何とか汎用性の高いパーツで雰囲気を出せないかを考え、汎用ラックを探して装着。他にもボックスはサバゲーを楽しむ人達が愛用するミリタリーボックスが安価だったので、これを購入して取り付けるなどの工夫が凝らされている。出来る限りコストカットして楽しむオーバーランダースタイルとのことだ。
設営作業たったの5分
外装については、自分でマットグレーにオールペン。今どきは塗料の進化もすさまじく、自分でオールペイントできる塗装キットが売られている。これを使えば数万円でオールペンが済む。それに、オーバーランダーというコンセプトであれば、多少ミスしても逆にそれも味となるので、オールペンにもはじめてチャレンジしたそうだ。
それ以外ではオーバーランダー仕様としてどうしても必要になる所に集中してコストをかけたそうだ。見た目を良くするフロントバンパーは、定番のパラマウント製をセットし、オーバーフェンダーはスミティビルトを組み合わせている。そして、タイヤはニットーマッドグラップラーに、ホイールは20インチのディアブロ・オフロードを履かせ、オールロード仕様として主張させた。
汎用キャリアやラックには、キャンプに必要な道具を乗せるだけでなく、オーバーランダーとしてどうしても必要なルーフテントとサイドオーニングをマウント。どちらも展開がとても楽で、目的のキャンプ地に到着後、すぐに設営、その作業はわずか5分で完了とのこと。子供と遊ぶ時間がたっぷり取れるようになった。「これこそまさにオーバーランダースタイルの魅力なんです」と飯田さんは説明してくれた。
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費用をかければカッコ良いクルマが作れるかと言えば、必ずしもそうでもない。そうした意味でも、このタンドラのカスタムは良い参考になるだろう。つまり、すべてはオーナーのセンスにかかっていると言って過言ではない。
オーバーランダーというテーマに沿って作り込まれた飯田さんのタンドラは、ボディカラー、装備、あえてちょっと錆を発生させたワイルドな雰囲気を含めて非常によくまとまっている。コストを掛けるところは必要最小限の大切な箇所に絞り込み、残りは雰囲気を高める工夫によって節約。こうして作り込まれた飯田さんのタンドラは、オフロードシーンがよく似合う出来栄えだ。
きっとこのクルマなら泥化粧させることで、よりワイルドにカッコ良くなることは間違いない。洗わなくてもカッコ良く見える。これもまた経済的といえるかもしれない。