ハイエンドなチューニングカーに仕立て上げられている
「ブラックバッジ」。それはロールス・ロイスがさまざまなモデルを生産する中で、最上級のバージョンにのみ与えられるレーベルだ。ドイツのノビテック・グループに属するスポーフェック社は、ロールス・ロイスのブラック・シリーズを専門に取り扱うチューニングメーカーである。
今回紹介するのは「ブラックバッジ・ゴースト」をベースとしたモデルで、その開発コンセプトは世界最高級の4ドアセダンが持つドライビングダイナミクスを、さらなる高みへと導くことにあった。同時によりスリリングで魅力的なエクステリア、そしてカスタマーが必要とするのならば、より豪華なキャビンを製作することさえ、彼らにとっては躊躇することのない仕事なのである。
スポーフェックのデザイナーは、ブラックバッジ・ゴーストのボディシルエットを尊重し、それを継承しつつテーラーメイドのカーボンボディスタイリングキットを装着してみせた。同時にスポーフェック・サスペンション・モジュールを搭載することで、車高は約40mmダウン。ホイールはVossenとの共同開発による22インチの鍛造オリジナルとなり、そのデザインもまたエアロダイナミクスを考慮したものとされている。
0−100km/h加速は4.3秒
フロントに搭載されるエンジンは、6.75LのV型12気筒ツインターボだが、スポーフェックのエンジニアは、そこにまだまだ潜在的な能力が隠されていることを見破っていた。エンジニアはまず、プロセッサー制御のスポーフェックN-TRONICプラグアンドプレイ・パフォーマンス・モジュールを使用し、インジェクションとイグニッションのマッピングを変更。
さらにツインターボのブースト圧を向上させることで、ノーマルでは600psだった最高出力を706psに、同様に最大トルクは900Nmから1002Nmへと向上させることに成功している。これに組み合わせる8速AT、そして4WDの駆動方式との相乗効果で、0−100km/h加速は4.3秒を、また最高速はリミッター制御で250km/hを実現した。
エキゾーストは切り替えスイッチを用意
パワーユニットのチューニングには、当然のことながらエグゾーストシステムも含まれており、テールパイプが外から見えるタイプと見えないタイプの両方が用意されている。これもまたロールス・ロイスというベース車ならではの配慮といえる部分だが、一方でダイナミックなサウンドを楽しめるエグゾーストノートの切り替えスイッチが与えられている。
縦方向にレイアウトされたLEDのポジションランプを持つ仕様も選択できるフロントフェイシア、サイドビューでゴーストのスタイルをより長く見せる効果を持つロッカーパネル、トランクの繊細なデザインではあるものの、確実にその機能を果たすリップスポイラー等々、外観からも見るべきところが多いスポーフェックのブラックバッジ・ゴースト。ハイエンドにあるチューニングカーの新しい選択肢として、ぜひその仕上がりを自分自身のドライブで実感してみたい一台だ。