家族のミニバンが大きく変化
「天才タマゴ」というキャッチコピーで1990年に登場し、ミニバンの新たな可能性を切り拓き、いままでになかったファミリーカーの歴史を築いたトヨタ「エスティマ」。2019年に惜しまれつつ生産終了となったが、その使い勝手の良さから現在もファミリー層に人気が高いモデルである。
そんなエスティマをボディリフトアップすることで、見るからにオフローダーな1台を完成させたのがNOBさんだ。
フロントリップが擦らないようにカスタム
ベースモデルはGSR55Wエスティマ4WDモデル。最初は子供を乗せて買い物やドライブ、旅行等に使えるクルマとして購入。しばらくノーマル状態で過ごしていたが、自宅前が傾斜の厳しい坂道になっており、通るたびに気をつけないとスポイラーを擦ってしまったそうだ。これを回避するために車高を上げられないかネット検索すると、エスペリア製のアップサスなるものを見つけたという。
さらに、タイヤもオフロードタイヤに交換することで車高がアップすることがわかったので、早速リフトアップに挑戦。実際にセットしてみると、これがとても良い感じで、スポイラーも擦らなくなってドライビングポジションも高くなって乗りやすくなったそうだ。
とても快適になったNOBさんのエスティマだが、他にどんなミニバンがリフトアップされているのかをネットで検索していたら、知らぬ間にどっぷりとリフトアップ沼にはまってしまい、さらなるカスタムがスタート。
一旦、カスタムすると凝り性なので、アレやコレやとネットで調べてリフトアップボディ車について学ぶことに。そして、自分好みのカッコ良いエスティマのアップスタイル計画を練り上げた。
NOBさんが目指したスタイルは、オフ車感を醸し出すオーバーランダーとプレランナーの良いトコ取りをするという仕様だった。悪路走破性を見た目で意識させながらも、キャリア等をセットして、必要に応じてルーフテントをマウントできるように設計するという内容であった。
装着している足回りは、エスペリア製のアップサスでは物足りなくなり、すべてを見直しフルリニューアルを決行。現在の仕様は、フロントに30アルファード用のストラットを入れて、リフトアップサスを組み合わせたスタイル。もちろん、この足回りは、そのままボルトオンというわけにはいかないので、特殊な加工を施し、専用スペーサーをワンオフで作ってセット。また、リアも大幅な加工を加え、ショックの延長ブラケットを製作し、サスはこちらもワンオフで製作したスペーサーで持ち上げる構造を採用している。
この30アルファードサスを移植することで、通常のキット物では不可能なリフトアップ量を実現。さらに、ダンロップオープンカトリーR/T(235/65-16)とウェインズアドベンチャー(7J×16)のタイヤ&ホイールをセットさせることで、トータル約8インチ(20cm程度)アップを達成。見るからに普通ではないワイルドなオフロードスタイルのエスティマが完成した。
SNSでつながった仲間にインスパイアされて
オフロードスタイルの要である車高が決まれば、あとはより雰囲気を高めるための演出ということになる。NOBさんはエスティマのワイルド化を進めるために、以前から考えていたフロントバンパーのカットを決行。それだけではワイルドなイメージが出せないので、ノーズブラを追加し、自作でパイプバンパーを製作、そこにロックライト、アンダーライトをマウントさせた。
また、サイドステップは取り外してレス化。リアについてはスポイラーにデューリーマーカーをセットして、リアバンパーはフロントと同じくカット、むき出しになったパネルをステッカーボムで処理する遊び心を取り入れた。
最初は自宅前の坂道をスムーズに登れるようにするためだけのリフトアップだった。しかし、ネット検索したことで刺激を受け、たった1年でこんなにも凄いプレオーバーランダーな1台へと進化。今では、見た目だけでなく、実際にオフロードコースに行って、悪路を走って遊べる仕様になっているとのこと。
車両を製作する上での細かな仕様変更に関する知恵は、すべてSNSで繋がっているアップスタイル仲間達が、良きアドバイスをくれたお陰と話すNOBさん。
今やネットで検索すれば、たいていの知りたいことは解決する便利な時代。こうした状況をNOBさんはどのように捉えているのだろうか。
「仲間達の手助けによって大満足の1台に仕上がりましたが、その仲間達のクルマも日々進化しています。それを見せられると、次から次へとやりたいと事が増えてしまって止まりません」
果たしてこれから先、このエスティマはどんな進化を遂げるのだろうか。果てしないカスタム道は底なしで続きそうだ。