搭載するエンジンは2L直4ターボに
最大の変更点は、搭載するエンジンが直列4気筒2Lになったことだ。コクパクトなボディをマルチシリンダーユニットと大排気量で走らせるのがSLの魅力だった。先代もV型12気筒6L、V型8気筒5L(後期型で5.5Lが追加)、V型6気筒3.5Lのラインアップだったが、それを思うといささか寂しい気もする。
軽量ボディにはあきらかにトゥーマッチのトルクを組み合わせることの余裕と贅沢が、SLの生命線だと思えていたからだ。直列4気筒になったことで、ビロードのようなバイブレーションは消えてしまった。少々大衆的な感覚が残る。
ただし、ダウンサイジングはパワーダウンを意味しない。直列4気筒にはターボチャージャーが組み込まれている。しかもその過給器には、厚さ約4cmの電動モーターを組み合わせる。
排気の圧力を利用してタービンを回転させ、その回転力で混合気を強制的に充填するターボチャージャーにはその構造上、排気圧が高まるまでにレスポンス遅れが生じる。電気モーターで強制加圧することで、その遅れがなくなったのである。2Lにもかかわらず、極低回転から力強い加速を見舞う。さらには48VのBSGを組み込んだマイルドハイブリッドとしている。動力性能に不満などあろうはずがない。
フットワークは軽快だ。ヨー慣性モーメントが少ないから、軽やかに走る。足まわりも適度に緩やかな設定のため、攻撃的にコーナーを攻めるような素振りはない。しっとりと湿度感のある操縦フィールなのである。というあたりも伝統で、70年前からまったくぶれていない。
■メルセデスAMG SL43(BSG搭載モデル)
・全長×全幅×全高:4700×1915×1370mm
・ホイールベース:2700mm
・トレッド(前/後):1660mm/1625mm
・車両重量:1780kg
・乗車定員:4名
・最小回転半径:6.1m
・エンジン:M139 直列4気筒ターボ+電気モーター
・総排気量:1991cc
・最高出力:280kW(381ps)/6750rpm
・最大トルク:480Nm(48.9kgf・m)/3250-5000rpm
・電動機種類:スイッチトリラクタンスモーター(EM0025)
・駆動用電動機の定格出力/最高出力:8/10
・トルク:58Nm(5.9kgf・m)
・タイヤサイズ(前/後):265/40R20/295/35R20
・ブレーキ(前/後):ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
・サスペンション(前/後):マルチリンク式/5リンク式
・車両本体価格(消費税込):1648万円