最近のモデルでは切り替え方法が変わってきた
さて、ここまで説明してきたクロカン車の4WDシステム、2H-4H-(N)-4Lの切替ができるシステムは、一般的に「パートタイム4WD」などと呼ばれるもの。二輪駆動を基本に「一時的に」四輪駆動に切り替えられる、という意味だろう。
ところが近年では、このパートタイム4WDをベースに、「フルタイム4WD」という機構を持つクロカン車も増えてきた。たとえば現行のランドクルーザーやランドクルーザープラドは、ハイレンジ/ローレンジが切り替えられる副変速機は持っているものの、2Hのポジションは設定されていない。走行モードを切り替えるダイヤル(またはスイッチ)の表示を見ても、4Hと4Lが切り替えられるのみだ。
つまり通常走行は4Hで行うことになるが、となると先述したタイトコーナーブレーキング現象が起きるのではないか?
そう、この現象を防ぐのが「フルタイム4WD」なのだ。一般的なパートタイム4WDは、前後プロペラシャフトが直結状態になってしまうのだが、フルタイム4WDは前後シャフトの間にディファレンシャル(センターデフ)を採用することで、前後の回転差を吸収。4WDでありながらも、舗装路でのスムースな走りを可能としているのだ。さらに悪路や雪道では確実な駆動力を確保するため、このセンターデフをロックする機能も持っているのが特徴。ランドクルーザーならではの信頼の走りは、きちんと担保されているのだ。
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走りをクルマにすべて任せるわけでなく、自分で走りのモードを選ばなければならない本格クロカン車たち。一歩進んだ楽しみ方ができるのも、今、ふたたびクロカンが見直されている秘密かもしれない。