今もなお高い評価を受け続ける第2世代GT-R
国内ばかりか世界的にも高く評価され、中古車の高騰が続く第2世代の日産「スカイラインGT-R」。グループAで鮮烈なデビューを飾り「GT-Rの敵はGT-Rだけ」と言わしめたR32型、熟成を極め最後のRB26DETT搭載モデルとなったR34型に挟まれるカタチで、ファンにとってはいささか不本意な評価を下されることも珍しくないのがR33型だ。
4WDのシステムやエンジンは踏襲し正常進化したにもかかわらず、デビュー当時は失敗作や駄作と揶揄されてしまった理由は何なのか、それらの評価は果たして本当に正しかったのか、あらためて検証してみたい。
最高出力は280psのままだが大幅な進化を遂げている
多くの人が挙げる「ダメ」な理由、それは大きくなってしまったボディだ。確かにベースとなるスカイラインが5ナンバー枠に収まるサイズだったBNR32に比べ、BCNR33はホイールベース/全長/全幅/全高のすべてが大きくなっている。
また、車重も増えていながらパワーは当時の自主規制ギリギリである280psのまま。パワーウエイトレシオだけで見ればたしかに下かもしれないが、トルクは36kg-mから37.5kg-mへと若干ながら向上している。ほかにも8ビットだったECUが16ビットへと進化し、全グレードにブレンボ製ブレーキキャリパーを装備する(BNR32はV-spec、V-specIIのみ)など、エンジンに限らずスペック的にR32型と比べ見劣りする部分は一切ない。
ネガに見えた大きなボディはメリットがあった
そもそもボディの大型化だけでいえばスカイラインに限らず、当時の国産スポーツカーはほとんどが同じ道を辿っていた。その後のBNR34型でダウンサイジングされた影響もあり、ことさらに「大きくなったボディは失敗だった」というイメージが根付いてしまったのだろう。
しかしボディの大型化にはメリットも数多くある。とくにBCNR33はホイールベースが105mm延びたことで、従来はトランク下だった燃料タンクをリアシート下に設置するなど、重量バランスの面で大きなアドバンテージを得ている。
さらに長いホイールベースは高速域のスタビリティを大きく向上させており、GT-Rが主戦場とするような国際サーキットでの速さと安定感に貢献。峠のようなタイトコーナーが多いコースなら話はまた違うかもしれないが、ロングホイールベースの恩恵で居住性が高まった後席を含め、クルマとして進化の方向性は何ひとつ間違っていないと個人的には思う。
またチューニングによってエンジンがパワフルになればなるほど、ロングホイールベースやワイドトレッドはプラスに働く。とくにドラッグや最高速といったステージでは安定感が強い武器となるため、大きくなったボディに対するネガな反応は少なかったと記憶している。
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第2世代GT-Rのなかで随一の大きなボディは確かに異色かもしれず、キビキビした動きを好む人にとっては不満かもしれない。しかし、ボディサイズをR32やR34にはない長所と捉えれば、R33ならではの可能性やチューニングの方向性が見えるはずだ。