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2023年「生誕50周年」の国産車は? 「セリカLB」「ケンメリGT-R」など2リッター以下のスポーツカーの当たり年でした

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: トヨタ自動車/原田了

トヨタ セリカLB

 1973年の4月6日に登場したトヨタのセリカLBは、ノッチバックの2ドア・ハードトップ・クーペのセリカをベースに、ハッチゲートを設けたファストバックの3ドア・ハードトップ・クーペでした。ベースモデルの登場から2年半後に追加設定されたLBの最大の特徴はやはりテールに設けられたハッチゲートでしょう。

 のちに一世を風靡することになるステーションワゴンとは異なり、ハッチゲートの見切り線はテールパネルの上にあり、バンパーレベルから開けることはできませんでした。そのため、重いトランクなどを積み込むのはある意味“重労働”だったのです。しかし、リアシートのシートバックを前方に倒しこむことで、広々としたカーゴスペースが広がることで、シューティングブレークのような使い方も可能としていました。

 メカニズム的にはベースとなったクーペに準ずるもので、サスペンションもフロントがマクファーソン・ストラット式で、リアはリジッド式ながらラテラルロッド付きの4リンク式で、リーフスプリングではなくコイルスプリングで吊るタイプが組み合わされています。

 ボディサイズは全長4215mm×全幅1620mm×全高1280mmとホイールベースが2425mm、で、ベースとなったクーペとはホイールベースは同じながら3サイズでは50mm長く20mm広く、そして30mm低いのが特徴です。

 搭載されたエンジンは1.6L直列4気筒の2T系に加えて2L直列4気筒の18R系が用意されていましたが、これはクーペに比べて70kgほど重くなっていたことに対処したもの。もっともパフォーマンスの高い18R-Gは直4ツインカムの1968cc(ボア×ストローク=88.5mmφ×80.0mm)で、最高出力は145psを発生しています。

 セリカLBは、クーペほど多くのレースに出場したわけではありませんが、1973年の富士1000kmには2T-Gにターボを装着したスペシャルエンジンを搭載したセリカLBターボが参戦。300psのパワーと優れたサスペンション/シャシー性能と相まって雨の中トップを快走し、見事総合優勝を飾って大きな話題を呼んでいました。

トヨタ パブリカスターレット

 LBの5日後に発表されたトヨタのパブリカ・スターレット(KP40系)は、その名の通りトヨタの大衆車、パブリカに追加されたグレードでスタイリッシュな2ドアクーペです。当時のパブリカは1969年に登場した2代目のKP30系でしたが、パブリカの名を初代モデルから継承していたものの、カローラに搭載されていた1.1L水冷直列4気筒OHVのK型から派生した2Kエンジンを搭載するなど、ミニ・カローラと化していました。

 その2代目パブリカの追加モデルとして誕生したパブリカ・スターレットは、マクファーソン・ストラット式とリーフリジッドを組み合わせたコンベンショナルなサスペンションなどカローラとパブリカに倣ったパッケージ。ボディサイズは全長3790mm×全幅1530mm×全高1335mmとホイールベースが2265mmで、これはいずれもカローラとパブリカの間となる数値です。

 搭載されたエンジンは1166cc(ボア×ストローク=75.0mmφ×66.0mm。最高出力はシングルキャブの3K型で68ps、ツインキャブの3K-B型で77ps)のほかに、1Lのベースグレードとして2Kエンジンも用意されていました。スターレットと言えば思い起こされるのがレースオプションのツインカム16バルブ・ヘッドを組み込んだ137Eエンジン、通称“3K-R”を搭載したレース仕様です。

 富士グラン・チャンピオン(GC)シリーズのサポートレースとして人気を呼んでいた富士マイナー・ツーリング(MT)レースでKB110サニーを圧倒するパワーを見せつけていた印象が強烈で、今でも記憶にも鮮明に残っています。

「オーバーフェンダー」でスピードをアピールした3台

 こうした新機軸のニューモデル以外にも、1973年には日産スカイラインGT-Rの2代目、KPGC110の“ケンメリ”や日産チェリーのホットモデル、クーペX-1R、あるいは三菱ギャラン・クーペFTOのトップモデル、1600GSRなどが登場しています。この3車種の共通ワードは“オーバーフェンダー”でスピードをアピールすること。

 そうした一方で、北米のカリフォルニアでは、クルマの排気ガスによる大気汚染が問題となり、世界中のメーカーが公害対策に取り組むようになった現実もあります。マスキー法案の排気ガス規制を、世界で初めてクリアしたホンダのシビックCVCCや、その原点となったライフの派生モデルとしてステップバンのトラック・モデル、ライフピックアップなども1973年に誕生していますが、そちらの詳細は、また別の機会にお伝えしましょう。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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