サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

昭和の若者が憧れた「シビエ」に「マーシャル」とは? なぜヘッドライトブランドに走り屋はロマンを感じたのでしょうか

ルノー5ターボもシビエのライプを採用していた

走り屋が好んで選んだブランド

 LEDやHIDのヘッドライトが当たり前の今日からすると、あまりピンとこないかもしれないが、1970年代のクルマはハロゲンランプどころか、タングステンランプ(白熱バルブ)も少なくなく、光量不足でとても頼りないものだった。

 だから、夜な夜な峠などを走る走り屋たちは、チューニングの第一歩として、まず明るいヘッドライトに交換するのがお約束。ただハイワッテージのバルブに交換するだけでなく、透明度が高く、カットがシャープな外国製にレンズごと交換するのが理想とされた。

 そんな1970年代、1980年代の走り屋たちが好んだ、ヘッドライトの一流ブランドを振り返ってみよう。

シビエ

 まずはフランスの名門「シビエ(CIBIE)」。100年以上の歴史を誇り、ルマン24時間レースのスポンサーなどでも知られている。昔の広告に「ルマン24時間レース 頼りになるのはコンセントレーションとシビエだけ」といったキャッチフレーズがあったはずだ。

 シビエの丸目ライトは、ガラスレンズが曲面になっていたのがひとつの特徴。AE86などのオーナーは、シビエの100Wバルブとリレーキットだけで、ライトのチューニングを行っている人も多かった。

マーシャル

 黒猫のマークが印象的だった「マーシャル(MARCHAL)」もフランスのメーカー。ポルシェやフェラーリにも純正採用されていた時期があり、ルマン24時間レースをはじめレースやラリーでもお馴染みのブランドだった。

 ヘッドライト本体より、フォグランプなど補助灯のイメージが強い。黒猫マークのカバーを被せたフォグランプが人気を博した。

 現在はシビエの傘下に入っているが、総合ランプブランドとしては健在で、マーシャルジャパンが日本総販売元になっている。四輪の旧車オーナーや二輪のオーナーにとっては有り難い存在だ。

ヘラ

「ヘラ(HELLA)」は1899年に創業したドイツの自動車部品メーカー。BMWやポルシェ、VWなどにライトを供給。黄色に青い文字で記されたブランドロゴで知られている。

 国産車では、セリカ(ZZT230)のオプションでTRD HELLAのHIDヘッドライトが用意されていた。
2022年ヘラはフランスの自動車部品メーカー「フォルシア」に買収され、新グループ名「FORVIA(フォルヴィア)」となることが発表された。

 そのほか、世界で初めて電球ヘッドライトの量産に成功したオランダのフィリップスや、自動車用電装部品の巨人、ドイツの「ボッシュ」(1913年にヘッドライトを使った電気照明システムである「ボッシュライト」を発売)なども有名だ。

 国産では、中嶋悟のスポンサーでも知られる「PIAA」(1991年のサファリラリーでもPIAAのライトを装着したセリカが優勝)が人気だった。ちなみにPIAAは大手自動車用ランプメーカー市光工業の連結子会社。

「市光工業」も、自社ブランドで1990年から日産のグループCカーをサポートしており、1992年デイトナ24時間レースを制した日産R91CPのヘッドライトは、市光工業製だ。海外のチームから、「日産チームのライトは明るい」と注目されるほどの性能で、24時間レースのナイトランでは大きな武器になっていた。

モバイルバージョンを終了