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北カリフォルニアの聖地「シャスタ山」へ! UFOウヨウヨの深夜に真っ赤な灯りが近づいてきてビックリ──米国放浪バンライフ:Vol.15

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TEXT: 牧野森太郎(MAKINO Shintaro)  PHOTO: 牧野森太郎

ガタピシ道を走っていたら何かが外れた!?

 ウィードでのガスステーション泊をはさみ、次に向かったのはオーレイク・キャンプグラウンド。オンラインで見つけた4つしかサイトがないキャンプ場だ。ここを選んだ理由のひとつは、料金が無料ということ。そういうサイトも一度、経験しておきたかった。

 閉口したのは、キャンプ場までの7マイル(約10km)の道がダートだったこと。しかも、砂利が主体の凸凹ガタピシ道だ。ぼくも相棒のキャンピングカー「ドル」も、この手の道が大嫌いだ。モーターホームがガタガタ揺れ、ひどい軋み音を上げている。

 と、突然、後ろで大きな音がした。ヤバい! と思ってクルマを止めて確認すると、大きな板が床に転げ落ちている。ところが、それがなんなのか分からない。いったい、何だ、これは? しばらく考えてようやく分かったのは、キッチン脇の仕切り板。釘がすっかり錆びて、大きな振動に耐えられなかったのだ。分からないくらいだから不要と考えて、夜の焚き火で燃やしてしまった。

5月31日 オーレイク・キャンプグラウンド

 ガタピシ道は困ったが、サイト自体は素晴らしかった。湖ごしにシャスタ山の裏側がきれいに見える。こんな角度からシャスタを見る経験はそうそうできるものではない。しかも灯りが何ひとつないので、夜は全くの闇の世界になる。UFOがウヨウヨどころではない、グジャグジャに現れるはずだ。さっそく、AKIRA隊長に報告すると、「それ、使えるね。サイトがタダなのがいい」と、経営者らしい感想が返ってきた。

 午後、女性レンジャーが巡回にやってきた。「ひとりで旅行をしているの?」「はい、そうです」「犬は?」「いや、犬もいません」「寂しくないの?」「まあ、寂しさが友達みたいなもんです」

 レンジャーは鳥の名前を覚えることを提案してくれた。そして、近くに見える鳥、声が聞こえる鳥について、簡単なレクチャーをしてくれた。「季節によっても来る種類が違うし、これから北に行くなら、もっといろいろな鳥に会えるから勉強してみたら? それには、まず、小さくてもいいから図鑑を買うことね」

 たしかに、ここまでの1カ月、毎朝、鳥の声で目覚めてきた。青い鳥、オレンジの鳥、などいくらか見分けがつくが、もっと鳥に詳しくなれば、旅の仲間になってくれそうだ。

「私はこんなところにひとりでいるなんて寂しくてだめだわ。まあ、気をつけて」「気をつけるって、何に?」「そうね。気をつけるものもないわね」。ぼくたちは、笑って別れた。

真っ暗なキャンプ場で謎の人物にビックリ

 ところが、である。それが冗談ではすまなかったのだ。深夜、トイレに起きたついでにランタンの灯りを消して、信じられないほどの星の瞬きを見上げた。しばし、星の煌めきを楽しんでいると……。

 なんと、左手から真っ赤な灯りが近づいてくるではないか。速さと光の高さからしてヘッドライトだと判断した。相手もビックリすると思ったので、こちらもランタンを点灯した。

 すると、脇目もふらず速足のままその人は歩き去っていった。歩いて行った方向にはグループサイトがあるが、それはかなり離れている。それに、いったいどこから来たんだ? あの人はいったい……。

■「米国放浪バンライフ」連載記事一覧はこちら

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  • 牧野森太郎(MAKINO Shintaro)
  • 牧野森太郎(MAKINO Shintaro)
  • アウトドア誌、ライフスタイル誌などの編集長を経験。2001年にアメリカでキャンピングカーを購入して以来、国立公園を訪ねることをライフワークとする。著書に『アメリカ国立公園 絶景・大自然の旅』『自分自身を生きるには 森の聖人ソローとミューアの言葉』(ともに産業編集センター)がある。カリフォルニア州シェラネバダ山脈のジョン・ミューア・トレイルを計30日かけて踏破したレポートがデルタ航空機内誌「sky」に掲載され、カリフォルニア観光局のメディア・アンバサダー最優秀賞を受賞。
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