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【深読み】ランボルギーニ「ウラカン ステラート」はなぜ市販化されたのか? ヴィンケルマンが復帰したのがきっかけだった!?

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TEXT: 西川 淳(NISHIKAWA Jun)  PHOTO: Automobili Lamborghini S.p.A.

車高の低さを気にせず走れるスーパースポーツ

 世界限定1499台。2023年2月より生産。とはいえ発表された時点ですでに「完売御礼」だった。このところのランボルギーニは世界的に需要が旺盛で、限定のステラートはおろか、ウルス ペルフォルマンテやアヴェンタドール後継のフラッグシップモデルまで、事実上、新規オーダーが難しいという状況になっている。それだけ、ランボルギーニのブランド力が世界的に増しているということだろう。SUVのウルスによる拡販戦略が結果的に新たなファン層を獲得し、ここにきて功を奏し始めたと言っていい。

 発表に際して、開発部門の責任者であるルーヴェン・モール氏とオンラインで話ができたが、彼はこう断言した。

「ステラートは車高を上げてはいますが、オフローダーではありません。ドライビング経験は完全にスーパースポーツの領域に収まっています」

 要するに多少道を選ばなくなったとはいえ、そのパフォーマンスは“ウラカン”であるということ。軟弱なSUV化などではない。

 それゆえパフォーマンススペックをみても、最高出力はウラカン前期モデルの時代と同じ。0−100km/h加速も3.4秒とスーパースポーツの範疇だ。ミドに搭載されるV10エンジンは基本的にウラカンSTOと同じものと言ってよく、最高出力の差もモール氏によればシュノーケル型エアインテクークの採用によるもの。やはりグラベル路などを積極的に走らせると、従来の位置ではエンジンへの吸気に砂埃が混じってしまうらしい。

 車高は44mm上げられているものの、サスペンションそのものの設計には大きな変更点はなく、前後のトレッドを広げることで結果的にグランドクリアランスを引き上げた格好だ。それゆえ、グラベルからサーキットまで走破できるオールマイティなスーパースポーツとなった。

「じつはアイディアそのものはかなり前にあったのです。ウルスを開発する際、滑りやすい路面でのドライビングにわれわれ開発陣が熱中し、ウラカンのようなスポーツカーを走らせたらもっと面白いのではないか、と思いついたんです」

 そこでプロジェクトを立ち上げたものの、正式なゴーサインは出なかった。ほかにも進めるべき案件があったからだ。

ドリフト走行にも容易に持ち込める

 ところがステファン・ヴィンケルマン氏がCEOに返り咲き、モール氏もふたたびサンタガータに戻ってくると、お蔵入りになっていたウラカンハイライダー計画が日の目を見ることになった。これは筆者の予想に過ぎないが、次世代モデルへのバトンタッチが多少ずれ込むという緊急事態もその背景にあったのではないか。事実、テクニカ、そしてステラートとまったく予想外のモデルが立て続けに登場しており、次世代モデルの噂もとんと聞こえてこない。

 それはさておき、ウラカンステラートは一体、どんなスーパーカーに仕上がっているのだろうか。ウラカンとほとんど性能が変わらないとはいえ、ハイライダー化の影響が気になるところだ。この点に関してもモール氏は、筆者にこう教えてくれた。

「ドライビングファンであることがステラート最大の特徴でしょう。オフロードやグラベルはもちろんのこと、ターマックやサーキットでもじつに楽しい。ドリフト走行にも容易に持ち込めますしね。もちろん、日常的なドライブでも車高の低さを気にすることは少なくなりますし、それでいて走行性能は完全にスーパースポーツカーなのですから、全く新しい魅力を持つスーパースポーツカーだと言えるでしょう」

 早く乗ってみたい、乗らなければわからない、スーパースポーツであることは間違いなさそうだ。

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