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「カウンタック」に「BB」など「激アツ」なモデルが50周年! 1973年に誕生した欧州車とは

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: Automobili Lamborghini S.p.A./Ferrari N.V./BMW AG/STELLANTIS/原田 了

フランスはコンパクトなスポーツモデルをリリース

 イタリアで大排気量V12を搭載するスーパーカー戦争が繰り広げられていたころ、同じラテン系でもフランスではコンパクトなモデルをベースに、よりパフォーマンスを高めていくクルマたちが注目を集めていました。その好例はプジョーがコンパクトの傑作モデル104に追加設定した104クーペや、シムカ・エンジンを搭載したマトラ・シムカ・バゲーラなどです。

プジョー104クーペ

 プジョー104クーペは、コンパクトながら5人乗りにも必要十分な、まさにコンパクトカーの典型だった104の4ドアセダンをベースに、全長を230mm、ホイールベースも190mm切り詰めた2+2シーター。都市生活における究極のコミューターとして開発されたものでした。

 しかし、そんなクルマにもドライビングを楽しむためのモデルを用意するのは流石ラテン系。ZSと呼ばれるハイパフォーマンス仕様は、ベースモデルの1.5倍近い66psを生み出す1.1Lエンジンを搭載しています。さらに、ZSラリーと呼ばれるグループ4仕様のベースモデルも追加設定されるなどスポーツ心タップリでした。

マトラ・シムカ・バゲーラ

 一方のマトラ・シムカ・バゲーラは、V4をミッドに搭載したマトラM530の後継モデル。クライスラー・フランス(=旧シムカ)のエンジンを使うことを前提に開発されたモデルでしたが、1.3L直4をミッドシップに搭載し並列3人乗りと珍しいパッケージングが最大の特徴です。

 同時にコンパクトスポーツとして知られたシムカ1200クーペの後継という位置付けということもあって、スポーティモデルの範疇を一歩抜け出したライトスポーツに仕上がっていました。

ドイツはハイパフォーマンスなスポーツモデルが登場

 同じく1973年にドイツで注目されたニューモデルは、ポルシェ911「カレラRS」とBMW「2002ターボ」が挙げられます。もともとカレラ(Carrera)は競争を意味するスペイン語で、1950年代にメキシコで行われていた公道レースの「カレラ・パナメリカーナ・メヒコ」に由来しています。

ポルシェ911カレラRS2.7

 またRSはドイツ語のRenn Sport(レーシングカー)を意味しています。そのふたつを併せ持つ最初のモデルが、1973年に登場し“ナナサン・カレラ”の愛称で親しまれる911カレラRS2.7でした。そもそもはグループ4(特殊GTカー)のホモロゲーション(車両公認)を取得するためのベースモデルで、500台の販売が予定されていました。ですが、予想に反して1500台以上も販売され、結果的にグループ3(量産GTカー)のホモロゲーションを得ることができました。

 2.7Lのフラット6は210psと当時としては圧倒的なハイパワーを絞り出していて、レースでも好成績を残していました。

BMW2002ターボ

 一方のBMW2002ターボは、1961年に“ノイエクラッセ”の名で登場したBMW中興の祖、1500シリーズから派生した2Lのスポーツセダン、2002のさらなる高性能モデルとして1973年に登場しています。

 最大の特徴は、量販乗用車として世界で初めてターボチャージャーを装着していたこと。ベースとなったのは2002Tiiで、2002の1キャブ仕様(最高出力は100ps)をクーゲルフィッシャーの機械式燃料噴射システムを組み込み、2Lエンジンは最高出力130psまでチューンアップしています。2002ターボではさらにKKK製のターボチャージャーを装着し、機械式燃料噴射システムをシェーファー製にコンバート。最高出力は170psにまで跳ね上がっていました。

VW パサート

 ポルシェやBMWのハイパフォーマンスモデルと同様に注目を浴びることになったのが、VWの新たな基幹モデルとなるパサートです。自動車メーカーとしてのVWの基盤を築いたタイプ1、いわゆる“ビートル”に対して水冷エンジンによる前輪駆動とパッケージを一転させた新世代の第一弾として登場したパサートは、傘下にあったアウディの80をベースに、2/4ドアセダン、3/5ドアハッチバック、そして5ドアステーションワゴンをラインアップ。

 乗用車としてのフルラインアップを取りそろえた1台でした。のちにコンパクトカーの世界的なランドマークとなるゴルフの露払いとして過小評価する声もありますが、ゴルフにはない流麗なスタイリングには根強いファンも少なくありません。いずれにしてもヨーロッパではスーパーカーを筆頭としたハイパフォーマンスカーと、新たな時代に向けて革新を重ねたベーシックなコンパクトカーの両タイプが注目を集めていた1973年でした。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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