走りを大きくレベルアップしてくれる重要なアイテム
チューニングの定番と呼ばれるいくつかのパーツ。初心者でも名前くらいは聞いたことがあり、何かしらの効果が得られるのも分かっている。だが、実際にどこがどう変わるのかと聞かれると、ハッキリ答えられないなんて人も多いはずだ。
単に「見た目がカッコよくなる」という理由も否定はしないが、どうせなら本来の役割や効能を知ったうえで走りに活かしたい。そんな人に向けた代表的なアイテム「スプリング/マフラー/タワーバー」の3アイテムだが、どんな効果があるのだろうか。
スプリングは「コーナリング性能を向上させる」、マフラーは「排気効率が改善されて軽量化にも貢献」、タワーバーは「ボディ剛性を高めセッティングにも役立つ」。いずれも愛車の走りを大きくレベルアップしてくれる重要なアイテム。それでは、それぞれをもう少し詳しく解説しよう。
スプリング
まずは「スプリング」だ。今はダンパーとセットになった車高調が主流だが、低価格な「ローダウンスプリング」も根強い人気だ。もっともチューニングというよりはドレスアップが目的で、走り重視のユーザーは選択肢に含めないケースもある。
しかし車高が下がれば必然的にロール量も減り、結果としてコーナリング性能の向上に結び付く。またレートも純正よりは高い製品がほとんどなので、費用対効果に優れる立派なチューニングなのだ。
確かに昔のローダウンスプリングは社外ダンパーと組み合わせるのが前提で、単体で使うと乗り心地が明らかに悪くなるケースも決して珍しくなかった。現在は純正ダンパーとのマッチングがよく考えられており、スプリングだけを交換してもマイナスになる可能性は低い。新車やコンディションのいい中古車を購入したばかりで予算が厳しい人は、スプリングから始めてみよう。
マフラー
次はパワー系でマフラー。排気の流れをスムースにして出力を向上させる、という基本中の基本は説明するまでもないが、大切なのはパイプの太さや全体のレイアウトだ。先日とあるサーキットで径が違うふたつのマフラーを、同じクルマに装着して比較テストする機会があった。
細いマフラーは低速のトルクが豊かで太いマフラーは高回転の抜けがいい、少しチューニングを知っている人なら容易であれば想像できるはずだ。結果「街乗りなら細いタイプでサーキットなら太いタイプだね」となったが、データを書き換えたECUに交換すると細いマフラーは抜けが悪い。つまり高回転の伸びがイマイチで気持ちよさも半減してしまった。対して太いタイプは頼りなかった下のトルクが改善、高回転域もよりパンチのある特性へと激変したのだ。
つまりマフラーは「近い将来どこまでチューニングするか」を考える必要があり、ブランドの好き嫌いやデザインだけで選ぶと痛い目に遭う可能性がある。
タワーバー
最後はエンジンルームで存在感を放つタワーバーだ。カラフルに着色した製品やレーシーなカーボン製など色々あるが、目的は左右のストラットを連結することでボディ剛性を高め、ステアリングのレスポンスやノーズの入りをよくすることが目的だ。
ウェットなど路面の状態により操作性がシビアになる場合もあるが、そんなときはバーのボルトを緩めるだけで効きを調整できるのも嬉しい。さらにリアのタワーバーなどほかの補強パーツと組み合わせれば、セッティングの幅が飛躍的に広がることも頭に入れておこう。