人とかぶらない欧州ブランドの3列シートミニバン&SUVを紹介
もはやファミリーカーの定番といえばセダンではなく、背の高いミニバンになってしまった。家族が増えたり、子どもが成長したりすると使い勝手のいいミニバンを購入するのが日本のファミリーの通例だが、そのトレードオフとしてドライビングプレジャーをあきらめる人が多かった。
そこで、今回は3列シートのミニバン&SUVで、つい最近まで新車を買えたクルマも含め、走りもそこそこ楽しめる魅力的な欧州車6台をチョイスしてみた。
シトロエン「グランドC4スペースツアラー」
まず紹介するのは、2022年7月上旬に生産終了となったシトロエン「グランドC4スペースツアラー」だ。シトロエンの3列7シーターミニバンとしてファミリー層から支持されている。2018年9月まで日本市場では「グランドC4ピカソ」と呼ばれていたクルマで、画家ピカソの名を使っていたのだが、ピカソ財団とのライセンス契約の終了にともなって改名したのだ。
シトロエンの独創的なクルマづくりの哲学が集約されたグランドC4スペースツアラーのスタイルは「テクノスペース」コンセプトでまとめられたもので、2013年発表とは思えない個性的なエクステリアデザインを誇っていた。
運転席の見晴らしをよくする「ゼニスウィンドウ」やデジタルインターフェースを採用し、同クラスの中でも先進的なことで好評だったが、マルチパーパスビークル市場が縮小傾向にあるため、生産終了となってしまった。
シトロエンは後継モデルとして、SUVらしい堂々としたフォルムとシトロエンならではのユニークな個性を融合させたデザインの「C5エアクロスSUV」、独創と革新のデザインを極めることで生まれたシトロエンの新しいフラッグシップモデルの「C5 X」、そして、トールスタイルのマルチアクティビティビークルである「ベルランゴ」の名を挙げている。
プジョー「5008」
伸びやかなプロポーションのロングボディが特徴となる3列7シーターSUVのプジョー「5008」は、2列シート仕様の3008と比べると全長が190mmほどストレッチされ、空間の広さと風格で、いかにもSUVらしいダイナミックなエクステリアを有している。
3列目のシートを格納すれば約702L、2列目まですべて折りたためば約1862Lのラゲッジスペースが出現する。7つの独立型シートをどう使い、どのような車内空間にするのかはオーナーのアイデア次第だ。
パワーユニットは2.0Lディーゼルターボもしくは1.6Lガソリンターボで、いずれも低回転域から豊かなトルクがあり、乗車人数や荷物が多い場合でもパワフルに走ってくれる。エクステリアのディテールも特徴的で、フロントは彫刻的なデザインのフレームレスグリルとLEDデイライトによって新世代プジョーならではのモダンな顔つきとなっている。
現在販売されているのは2017年に登場した2代目で、初代はシトロエン・グランドC4ピカソのコンポーネンツを流用した3列シートミニバンだった。それはそれで使い勝手がよかったが、昨今はSUVスタイルのほうが人気があるので、これはこれでアリということだろう。
フォルクスワーゲン「ゴルフ トゥーラン」
3列シートのミニバンといえば、VW「ゴルフ トゥーラン」も忘れることができない存在だ。筆者が足グルマとして愛用しているアウディ「A6オールロードクワトロ」の代車として初代を借りたことが数回あるが、びっくりするほど使いやすく、こっちを買っておけばよかったかも? とシミジミ思ってしまった。
いま日本でデリバリーされているのは2016年にフルモデルチェンジした2代目で、すでに発売から7年が経過しているが、ユーザーのニーズに合わせた細かな仕様変更が行われてきたので古さを感じることはない。というかライバルたちのベンチマークにされてきたモデルだといえるので、使い勝手のよさは特筆ものだ。
VWのウェブサイトには「あなたのしたいことすべてに、ゴルフ トゥーランは応えます」と記されていたが、それを可能としているのが3列目のシートまでしっかり使える広い室内と、1.5Lガソリンと2.0Lクリーンディーゼルから選べるエンジンである。
新開発のインフォテインメントシステムや、最新の安全装備も充実しており、ゴルフ トゥーランに乗ると間違いなく「ホントに、コレ、いいクルマだわ。いいなぁ~、欲しいなぁ~」と思ってしまうので、ほかに気になっている3列シートのミニバンがあるという人は触らないほうがいいかもしれない。