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50台オーバーの軽自動車で争われたスポーツランドSUGOが熱かった! 「東北660選手権」の特別戦セミ耐久レースの勝者は?

4クラスでポール・トゥ・ウィン、さらにコースレコードまで樹立した細田駿也/塩野力也組

2022年シーズンは特別戦のセミ耐久で締めくくる

 2022年も大いに盛り上がった「東北660選手権」。シリーズチャンピオンを巡る争いはすでに決着しているが、最後のお祭りが唯一のセミ耐久レースとなる特別戦だ。2022年は11月27日に宮城県のスポーツランドSUGOで開催され、過去最多となる51台ものマシンがエントリーした。

スプリントと耐久のいいとこ取りのようなルール

 まずはシリーズ戦との違いを簡単に説明しよう。特別戦にシリーズポイントは付与されないが、優勝すれば翌年の参加費(スポーツランドSUGO分)が無料となる。決勝レースは60分のセミ耐久で途中の給油は禁止。また通常のグリッドスタートとは異なり、ローリングスタートである点も特別戦ならではだ。ドライバーは1名もしくは2名で途中で必ず交代しなければならないが、1名の場合は一度クルマから降りてドアを閉めれば交代したとみなされる。

1クラス:年間王者の独壇場かと思いきや……

 改造範囲の広い1クラスは、チャンピオンを決めた#11アベが練習走行、公式予選とも2番手の#21大塚 猛/織田大輔組に約1秒の差を付けてトップに立つ。ちなみにアベとシリーズを争った細田駿也はHA36型スズキ「アルト」のAGSで4クラスに出場し、表彰台の常連である村松正剛は前日のプラクティスでエンジンブロー。決勝はアベの独壇場かと思われたが、大塚/織田組のベテランらしい粘り強い走りに加え、ドライバー交代やセーフティカー介入のタイミングも有利に働き逆転で大塚/織田組が優勝を決めた。

2クラス:#154小松日高がポールtoウィン

 2クラスは今年からステップアップした#154小松日高が、唯一となる1分54秒台でポールポジションを獲得。以降は#61高橋康平や#787我孫子 司/高橋智紀組らが1分55秒台で追いかける展開に。

 決勝は小松と高橋康平が事実上の一騎打ちとなり、両者とも譲らずデッドヒートを繰り広げるが、他車のアクシデントに巻き込まれて高橋がリタイヤ。一時は2番手に下がった小松がポジションを回復して優勝となった。2位は#90新開 透で3位は#246久米田 昴/土屋耕太だった。

3クラス:年間王者不在で波乱の展開に

 シリーズチャンプ石川颯人が不在の3クラスは、#919茂木勇輝/熱田行雲組がポールポジションを獲得する。2番手は#86竹中康平で3番手が大平崇史/大越 拓組、4番手に学生チームの#68菊地 輝/山下 廉と続く。

 しかし決勝では順位が大きく変動し、優勝は竹中で準優勝が大平/大越組となった。ポールポジションの茂木/熱田組は3位でフィニッシュという結果だった。

4クラス:コースレコードを記録した#888細田/塩野組が圧勝

 HA36アルトのAGSによるエントリーが倍増した2ペダル限定の4クラスは、#888細田駿也/塩野力也組が練習走行で7年前に記録されたレコードを更新。もちろん予選と決勝も圧倒的な速さでトップを譲ることはなく、スリップストリームを上手く使った決勝では1分55秒575と、練習走行で細田が自ら記録したコースレコードを大幅に上まわった。

 2位も同じくHA36で遠く岡山から遠征した#55梶井貴寛、3位にはシリーズチャンピオンの#221宮澤幸秀/菊地哲也組が入った。

5クラス:表彰台常連の#106石川がまさかのリタイヤに

 ビギナー限定の5クラスは、3クラスでも上位に食い込む#106石川斗夢が、マシンの不調で下位に沈み決勝はリタイヤするという大番狂わせがあった。その結果、#71江尻兼作/志賀卓也組が優勝、#841藤原優地が準優勝の座に輝いた。

来年のシリーズ戦を見据えたテストなど充実した特別戦に

 特別戦は翌年のエントリーフィー無料を賭けたバトルだけではなく、次のシーズンを見据えたテストや練習を目的とするドライバーもいる。この日の注目株は12年の歴史を誇る東北660選手権で、初めての参戦となったHA25アルトを駆る#25稲垣康太。マシンはまだまだ未完成ながら2分フラットと将来を期待させるタイムで、熟成が進めば老朽化したHA23アルトの後継機になるに可能性もある。

 そして4クラスでは#67鈴木 茂/相原誠司郎組が、初の3速ATであるエッセを実戦投入してきた。こちらも2分1秒219と十分すぎるタイムで、CVTが有利とされる現状に一石を投じることになりそうだ。

 来年も東北660選手権はスポーツランドSUGO、エビスサーキットの西コースと東コースで開催。普通車に比べ圧倒的なローコストで手に汗を握る熱いバトルが楽しめるこのレース、同じく「東北660」の名を冠したターボGP/耐久レース/HA36カップ/ドリフトなどと併せて要チェックだ。

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