90年代に流行ったクロカンカスタム
今から30年以上前に流行ったクロカンカスタムブームを経験したオーナーが手がける三菱CV1W型「デリカD:5」は、当時流行ったスタイルを今に伝えるべくリメイクを施した1台だった。これこそが「ストリートをザワつかせたクロカン4駆を主張する姿である」と言わんばかりにカスタムされたド迫力フォルムは、圧巻のひとこと。ワイルドな4駆カスタムに精通する玄人の仕上げ方を紹介しよう。
愛車歴はすべてクロカン
トヨタ「ハイラックスサーフ」、三菱「パジェロ」/「デリカスペースギア」、そして現在のデリカD:5の車歴を持つライムさん。これまで乗って来たクルマはすべてクロカンカスタム車両という強者だ。
一番最初に乗っていたハイラックスサーフは、ハイリフト車で定番小径ホイールに太いタイヤを履かせたオフロードクロカン仕様として改造。荷台にFRPシェルを搭載してアウトドアも満喫できるように作り込んでいた。
そして結婚を機に改造しすぎてしまったハイラックサーフを手放し、次にパジェロを購入。これも少しだけクロカン仕様としてチューニングしていた。さらに、子どもが大きくなるにつれ、パジェロのままでは使い勝手がよくないとの理由からスライドドアを持つデリカスペースギアに乗り換え。ハイリフトにして乗ろうかな……とポロっと話したのが大失敗。乗り降りしづらくなるのは困ると家族から大ブーイングを受けた。それでもノーマルのままでは満足できなかったので、車高をちょいアゲ仕様にして乗っていたそうだ。
現在所有のデリカD:5は、今から6年前に購入した。子どもが大きくなったので、今度こそ自分が思い描く理想のクロカン4駆を目指してカスタムを楽しむことを決意。テーマは「知っている人ならば懐かしを感じる昭和スタイル」ということであった。
やりすぎない寸止めカスタム
車高は、ハイリフト仕様として9インチアップを達成。アーム類は問題ないが、ここまで持ち上げるとドライブシャフトにかかる負担が大きくなるので対策が必要になるとのこと。ホイールは16インチのMKWを装着、タイヤはBFグッドリッチの265/75を組み合わせている。
本当はもっと大きいタイヤを履かせたいが、これ以上タイヤを太くするとスライドドアに干渉してしまう。これがミニバンをベースにしたクロカン仕様の悩みどころで、より迫力を出せるファットタイヤを履かせるには、ボディの大幅加工が必要となる。ライムさんも、ボディ加工を施そうか悩んだが、それをやり始めると、どこまでも突き進んでしまう性格なので、あえて現状でとどめているそうだ。
昭和スタイルの何たるかについては、雰囲気そのものを総称してそのように表現しているので、具体的な説明は難しいそうだが、カスタム面から紹介していこう。
ロードハウスのグリルガード、その内側にマウントするダブルフォグ、極太パイプで作ったルーフラック、そこにマウントしている5連丸型フォグランプ、さらにトラック仕様のラッパを装着しデューリーマーカーを追加するなど、カスタムパーツの選び方と取り付け方の相乗効果によって昭和スタイルを醸し出しているといえる。
わかる人には伝わる昭和スタイルのハイリフトデリカD:5。見た目のカッコ良さはもちろん、走行性能についても、悪路をガンガン攻めて楽しめるだけの性能が与えられている。
現在はライムさんの影響で息子もジムニーをクロカン仕様にして乗っているということ。父親の影響もあって、そのジムニーの仕様もデリカ:5によく似た感じになっているとのことだった。