リバティーウォークが伝説のシルエットフォーミュラに挑戦
世界が注目するカスタム大国である日本において話題を振りまくブランドといえば、リバティーウォークだ。発想力の豊かさと改造の自由をトコトン楽しむ独創的なスタイルによってファンの度肝を抜くリバティーウォークは、2023年の東京オートサロンにおいても数多くのカスタムカーを展示していた。その中でも、とくにAMWが注目したのが、オールブラックにロングノーズのボディキットをまとったマツダFD3S「RX-7」の存在だった。
まさしくモビー・ディック!
スーパーカーカスタムで有名なリバティーウォークだが、じつは国産旧車カスタムにも精通している。過去にもマツダ「RX-3」ベースのワークス仕様や日産R34「スカイライン」ベースのスーパーシルエットといったコンプリートカーを発表している。この国産シリーズに新たに加わったのが「LBスーパーシルエットFD3S RX-7」であった。そして今回のボディキットは、コンプリートスタイルとして販売もされるから楽しみである。
マシンについて詳しく話を聞くと、このLBスーパーシルエットFD3S RX-7の製作は、今から2年前に計画されていたという。だが、製作については市販化を前提にかなり凝った細工が必要になり、実際に形になるまでに乗り越えなければならないハードルが数多くあったそうだ。それをすべて克服し、ボディキットとしてハイレベルなクオリティをキープしつつ、量産化できる体制を整えるのに時間を要したのである。
今回のマシン製作のコンセプト、ルーツになったのは、伝説のシルエットフォーミュラマシン「ポルシェ935モビー・ディック」である。
シルエットフォーミュラとは、1970年代後半に開催された量産乗用車の基本設計をもとに輪郭のみ残すも、トレッドの拡大やオーバーフェンダー、ウイングなどの形状や材質の変更が自由とされ、極太タイヤにワイドボディがあたり前の衝撃的なスタイリングを持つレーシングカーである。スーパーシルエット・グループ5というレースカテゴリーに属し、ポルシェ935モビー・ディックは、当時、最強の911レーシングモデルとして称えられ、無敵マシンとして数多くの偉業と伝説を作った。
じつはリバティーウォーク加藤会長は、ポルシェのフォルムが大好きで、それをどうにか国産スポーツカーの代表であるRX-7で表現できないものか思案。かつてグループ5で活躍したポルシェ935のことを思い出し、究極のエアタロダイナミクスカーとしてその名を轟かせた「78モビー・ディック」仕上げにするのが面白いとひらめいたのである。